大王、川崎紙運輸との資本関係解消へ

製紙業界4位の大王製紙は21日、筆頭株主で同5位の北越紀州製紙の株式を無断で取得していた関連会社、川崎紙運輸(川崎市)との資本関係を解消すると発表した。役員派遣もとりやめる。大王はグループの企業統治に不備があったとみて、74の子会社も対象に出資比率などを見直す。
(日本経済新聞2013年2月22日13ページ)

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「大王はこれを機に、74ある子会社の統治の見直しにも着手する。出資比率が適正か、役員派遣が妥当かを検証していく。川崎紙運輸と同じ持ち分法の非適用会社8社については、原則として出資関係を解消する。」(前掲紙)

2月15日のエントリー「北越紀州、大王と対立」の続報です。

大王は昨日公表した「当社持分法非適用関連会社のガバナンスについて」の中で、持分法非適用関連会社に対するガバナンスの改善の必要性を次のように説明しています。

「川崎紙運輸は当社の持分法非適用関連会社であって、その経営を支配し得る立場にないこと、及び上記のとおり、本件買付けはインサイダー取引に該 当するものではなく、違法性はまったくないことを考慮しても、本件買付けの事実を 当社において適時に把握できていなかった点に関しては、持分法非適用関連会社に対するガバナンスの改善が必要であると判断された」

しかし、関連会社に持分法を適用するか否かは、会計上の重要性の判断に基づき決定されるだけのことで、持分法非適用であろうがなかろうが関連会社には変わりありません。つまり問題とされる点があるとすれば、関連会社を含めた子会社統治全般についてということになります。

大王製紙には従前からこの点に問題があるとされており、北越もそれを知って出資しているのですから、一方的に北越側が批判すべき問題ではなく、北越自身のグループ会社統治の問題でもあると思います。
そしてそれを突き詰めていくと、”何のための出資か”というところに行きつきます。

北越は何のために、大王に出資しているのでしょうか?

【リンク】

2013年2月21日「当社持分法非適用会社のガバナンスについて」大王製紙株式会社 [PDF]