エーザイの招集通知

エーザイは19日に開く株主総会の招集通知に、株主からよくある質問に答える
「Q&A」の項目を初めて掲載した。総会に参加できない株主に配慮した。想定される質問と回答を事前に伝える丁寧な情報開示で「取締役の信認につなげ、個人などの安定株主を増やしたい」(PR部)という。
想定問答は計24項目に及び、業績や配当についてのほか、抗体医薬や後発品への取り組みといった事業戦略も取り上げた。昨年の総会では株主から19の質問があったといい、中身を分析したうえ株主の興味が高い内容を盛り込んだ。

(日本経済新聞2009年6月18日14面)

【CFOならこう読む】

Q&A24項目は次の通りです。

企業集団の現況に関する事項

2008年の業績はどうだったのでしょうか?

配当に関する基本的な考え方を教えてください

期待する開発品は何ですか?
アリセプト、パリエット/アシフェックスの特許満了に対しどのような対応を考えていますか?
企業買収による債務返済をどのようにするのですか?
買収は今後も実施していきますか?
抗体医薬には取り組んでいきますか?
ジェネリック事業の戦略を教えてください
今後も医薬品分野のみに注力するのですか?
コーポレートガバナンスを強化するためにどのようなことを行っていますか?
内部統制にはどのように取り組んでいますか?
コンプライアンスについては何を重視していますか?
事業等のリスクが数多く列記されていますが大丈夫でしょうか?

株式および新株予約権等の状況

他の会社と株式を相互保有する理由は何ですか?
株主還元として自己株式取得は行いますか?
ストックオプション付与の目的はなんですか?

役員の状況

取締役会への各取締役の出席状況を教えてください
社外取締役選任においてい重視していることは何ですか?
社外取締役は取締役会において活発な議論を行っていますか?
役員賞与はどのように決定していますか?

株式会社の支配に関する基本方針

この対応方針を導入した理由を教えてください
取締役会だけで導入したのはなぜですか?
第三者委員会は設置していますか?
有効期間が6年であるのはなぜですか?

株主総会招集通知デジタルブックは大変みやすく、PC上で冊子を手に持ってページをめくるように読むことができます。

エーザイの個人株主重視の姿勢を見てとることができます。

20090618

ただし、Q&Aの回答は、多くの上場企業で見聞きするのと同様当たり障りのないであるのが残念です。

例えば、配当に関する基本的な考え方を教えてください、という質問に対する回答はこんなものです。

連結業績、純資産配当率(DOE)およびキャッシュ・インカムの配分等を総合的に勘案し、継続的安定的な配当を実施していく考えです。

エーザイの株主還元策はHP上に次のように開示されています。

「エーザイでは、株主の皆様の信任を得るために努力し、そのご期待に応える諸施策を実行することが、経営陣にとって最も優先度の高い課題であると認識しています。

配当政策では、連結業績ならびに純資産配当率(DOE)等を勘案し、継続的・安定的な配当をベースとし、そのうえに着実な増配実績を積みあげていくことで、株主の皆様にインカム・ゲインで報いたいと考えています。2008年3月期(2007年度)の1株当たり配当金は、前期から10円増配の130 円とし、2009年3月期にはさらに10円増配の140円を予定しています。

また今後は、DOEを主要指標とする考え方を堅持しつつ、キャッシュ創出力を表す指標であるキャッシュ・インカム(※)をベースとして配分方針を新たに定めて行きたいと考えています。基本的には、配当、借入金返済原資、成長投資においてキャッシュ・インカムの配分割合を各使途に1/3として考えていきます。配当は継続的・安定的な配当還元を、返済原資は計画的な返済原資の確保、成長投資は成長機会をとらえて積極的な投資を行っていく予定です。
エーザイは、株主の皆様との価値共有のもとで持続的な成長を果たし、その成果を株主の皆様に還元するとともに、IR活動を通して経営情報を積極的に開示し、企業の透明性を高めて「株主価値」の向上に努めていきます。

※キャッシュ・インカム:
成長投資、事業開発、配当支払、借入返済等に使用可能なキャッシュの総額、キャッシュ創出力を表すもの

算式=当期純損益+有形・無形固定資産償却費+インプロセスR&D費+のれん償却費+減損損失」

この1/3という数値を説明しなければQ&Aの意味がない、と思うのですが・・・。

【リンク】

「第97回定時株主総会招集ご通知」エーザイ株式会社
「当社の株主還元政策」エーザイ株式会社

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配当政策

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