2011年度のVCによる投融資額1,240億円、日米差18.5倍

政府と民間がお金を出し合う「官民ファンド」が脚光を浴びている。安倍晋三政権ができて以来、新設や役割を広げる例が目立ってきた。経済の活性化へ官民が手を携えるリスクをとる狙いがある半面、国民の負担が膨らんだり競争をゆがめたりする懸念も残る。
(日本経済新聞2013年3月7日5ページ)

【CFOならこう読む】

「官民出資の意義を認めやすいのは、民間からお金が回りにくい分野だ。代表例がベンチャー投資との見方は多い。
(中略)
高いリスクの事業を資金面で支えるベンチャーキャピタル(VC)も根づいたとは言い難い。ベンチャーエンタープライズセンターによると、VCによる2011年度の投融資額は1240億円。米国の2011年の投融資額(2兆2890億円)に大きく見劣りする」(前掲紙)

民間からお金が回りにくいのではなく、VCが出資したくなるようベンチャー企業が日本ではまだまだ少ないということでしょう。

特にアーリーステージでの投資については10倍~20倍のリターンを見込むVCにとっては、これに見合う案件が非常に少ないというのが現状でしょう。

その原因はいろいろありますが、リスクをとって失敗したらやり直すのがとても難しい、という相も変わらない日本の風土が最大の原因のように思います。それとM&Aが企業戦略の選択肢として根づいていないこと。ベンチャーの出口はIPO以上にM&Aが重要です。この部分での成功体験が日本では非常に少ない。

いずれにしてもこの分野は国がしゃしゃり出ていくべきではありません。

ここで間違えてはいけないのは、ベンチャー企業への出資と起業(独立)支援は全く異なるという点です。一定年齢以上の転職が困難な日本の労働者は、起業(独立)することを選択する人が今後増えていくように思います。ここは国がしっかりと支える必要があると私は思います。

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