西武HD・サーベラス

西武ホールディングス(HD)は14日、早期の株式上場を目指すために「上場に向けたガバナンス推進有識者会議」を同日付で設置したと発表した。社外の有識者が同社の取締役会に助言することにより、ガバナンス体制を一段と強化するとしている。
(日本経済新聞2013年3月15日11ページ)

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「西武HD株式の32%超を保有する筆頭株主米サーベラスがTOBで株式の買い増しを表明しており、当面この課題に対応する。」(前掲紙)

サーベラスは現在の保有比率32.4%を、最大4%引き上げて36.4%を取得することを表明しています。

西武HDは、有識者会議の設置目的について、

「なお、当社は、2013 年 3 月 12 日より開始されたサーベラス・グループの関連事業体で あるエス-エイチ ジャパン・エルピーによる当社株式に対する公開買付けに関する当社と しての意見表明につきましても、当該有識者会議での検討内容および当該有識者会議から の当社取締役会に対する助言等を踏まえ、慎重に検討を重ねて参る所存です。」(2013年3月14日 リンクのプレスリリース)

としており、実質的にはサーベラスのTOBの諮問のために設置されたものと思われます。

サーベラスは2006年に、約1000億円の出資を実施しています。西武HDは昨年中の上場を目指していましたが、サーベラスと現経営陣との間で、IPO価格などの上場条件を巡って意見の相違が深まっていると報道されています。

PEファンドであるサーベラスは、IPOの売出で一部Exit するので、その際の価格が決定的に重要です。TOBによる出資比率引き上げにより、取締役の派遣など経営への影響力を強め、Exitの極大化を図るものと思われます。

【リンク】

2013年3月14日「「上場に向けたガバナンス推進有識者会議」の設置について」株式会社西武ホールディングス [PDF]