資生堂、米子会社で減損

資生堂は24日、2013年3月期の連結最終損益が147億円の赤字(前の期は145億円の黒字)になったと発表した。従来予想は105億円の黒字だった。
(日本経済新聞2013年4月25日9ページ)

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「買収して以来、業績苦戦が続いている米子会社について、「のれん」の価値を引き下げる減損で286億円の特別損失を計上する。最終赤字は8年ぶり。年50円の配当は予定通り実施する。」(前掲紙)

特別損失の内容は次の通りです。

「(1) 特別損失の計上見込み額
Bare Escentuals, Inc.(以下、ベアエッセンシャル社) に係る無形固定資産(のれん)の減損損失として 28,600 百万円

(2) 特別損失の発生およびその内容 当社は、2010 年 3 月に買収を完了し、当社の子会社とした米国の化粧品会社ベアエッセンシャル社について、 買収後、グループシナジーの発揮に向け、米州における資生堂の生産・物流拠点およびバックオフィスとの機 能統合や強化、米国外における資生堂の販売インフラの活用、研究開発や商品開発分野での取り組み等を工 程どおり進めてきました。その結果、シナジー効果も徐々に表れ、売上も伸長していましたが、期待通りとはな っていない状況であったため、ベアエッセンシャル社の売上の大半を占める米国において、市場規模の大きい リテール事業を育成すべく、2011 年度より、テレビ宣伝等のメディア投資を実施しました。しかし、認知度や関心 は高まったものの、リテール事業の拡大に想定以上の時間を要していることなどから売上は計画を下回って推 移し、特に直近数カ月間においては乖離幅が大きくなっています。 このような状況を総合的に勘案し、4 月に入ってからではありますが、長期計画を見直して減損テストを再度実 施した結果、2012 年度に特別損失が発生することとなったものです。 なお、ベアエッセンシャル社は、今回の長期計画の見直しにより、2013 年度に、不採算直営店舗の閉鎖等、構 造改革を断行するとともに、一旦、マーケティング投資を拡大し、2014 年度以降の成長への基盤を整えます。成 長に向けては、「QVC」や「インフォマーシャル」といったダイレクト販売事業を強化することに加え、リテール事 業では、これまでのメディア投資から店頭マーケティングへ投資をシフトさせ、まずは既存店舗の強化に最優先 に取り組みます。これらの取り組みにより、ベアエッセンシャル社の本来の強みである「ダイレクト販売とリテー ル販売の相乗効果」を生み出す「独自の強いビジネスモデル」に磨きをかけ、グローバルメガブランドとして、持 続的な売上成長を果たしていきます。」
2013年4月24日「特別損失の発生および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」株式会社資生堂 [PDF]

のれんの減損については、判断が難しいのですが、“売上は計画を下回って推 移し、特に直近数カ月間においては乖離幅が大きくなっています”というのは一つの重要な兆候になります。

 

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2013年4月24日「特別損失の発生および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」株式会社資生堂 [PDF]