債務超過会社の買収により発生するのれんーローソン・am/pmのケース

ローソン、am/pm買収を発表 店舗飽和、再編促す

コンビニエンスストア2位のローソンは25日、同7位のエーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)を買収すると正式発表した。買収額は145億円。ローソンはam/pm親会社のレックス・ホールディングスから全株式を買い取り、来春をメドにam/pmを合併する見通し。コンビニの店舗網が飽和に近づくなか、大手が苦戦する中堅以下のチェーンを取り込む形で業界再編が進みそうだ。
NIKKEI NET 2009年2月26日

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スキームの概要は以下の通りです。

am/pmは運転資本等確保・財務体質の改善・資本増強を目的として、レックスHDへの55億円の第三者割当増資を実施。

第三者割当増資と併せて、レックスHDがam/pmを100%子会社とすることを条件として、ローソンが 本取得を実施する。

取得金額は、レックスHDによるam/pmへ55億円の第三者割当増資を前提に、第三者割当増資後am/pmの全株式を備忘価格、貸付債権を200億円と予定。

その結果、実質的な本取得金額は145億円となる。

平成21年2月25日(水) 基本合意書締結
平成21年3月上旬(予定) 株式及び債権譲渡契約締結、業務提携契約締結
平成21年3月下旬以降(予定) 株式及び債権の取得期日

(2009年2月25日プレスリリースより)

この買収によりローソンはのれん90億円が発生するとしています。
(2009年2月25日公表資料より)

債務超過の会社を100%子会社化する場合、備忘価格での買収であってものれんが発生します。

上記公表資料によると、am/pmの2008年12月期見込み純資産は△139億円、増資55億円を前提にすると90億円ののれんはほぼ説明できます。

ところで、日本の会計基準では、こののれんは連結財務諸表上、均等償却しなければなりません。この処理は、ゼロで買ったものをマイナスの純資産価額まで評価減することと同じです。

これは債務超過の会社であっても、オプション価値があるので株式価値はマイナスになり得ない、というファイナンス理論の考え方と矛盾します。IFRSとのコンバージェンスの過程で、のれんは均等償却しない方向で日本の会計基準の改正があるものと思われます。

しかし、構造改革を急がなければいけない今の日本において、そんな悠長なことは言っていられません。行われるべきM&Aはどんどん行われなければいけないのです。債務超過ではあるが改善の可能性のある会社が、のれんの償却負担が生じることを理由に、買収されないようなことがあってはならないのです。

のれんの償却については、一刻も早いコンバージェンスが望まれます。

【リンク】

2009年2月25日「株式会社エーエム・ピーエム・ジャパンの子会社化に関する基本合意書締結に関するお知らせ」NIKKE NETプレスリリース

2009年2月25日「株式会社エーエム・ピーエム・ジャパンに関する 基本合意書締結について」株式会社ローソン[PDF]