知的資産経営報告書

・金融機関、中小企業の期待に応えておらず
・返済猶予法制化、緊急保証のみで解決せず
・隠れた経営資源発掘、企業の改善に関与を

(日本経済教室2009年10月2日経済教室村上孜成城大学教授)

【CFOならこう読む】

村上教授は、金融機関の近年の「企業の財務諸表に融資」するという短期的判断による融資姿勢を財務諸表偏重と批判し、「生きている企業」として継続評価する重要性を説いています。

「その実践として、金融機関は、中小企業と経営実態を共有し、経営パートナーとして今後の先行きの「経営強化シナリオ」をともにつくることが一つの方向であろう。この「経営強化シナリオ」をともにつくることが一つの方向であろう。この経営強化シナリオづくりの土台となる経営診断手法の一つとして、企業の経営資源を「人的資源」「組織資産」「関係資産」として整理し、製品サービス・事業モデルと外部環境・業界動向とともに、その企業の強みと課題の状況と今後の展開の鍵になるポイントを体系的に可視化する、知的資産経営評価がある」(前掲紙)

経済産業省のウェブサイトに知的資産経営に関する次のレポートが掲載されていますので、興味のある方はダウンロードしてみてください。

中小企業のための知的資産経営マニュアル(2007年3月)
中小企業のための知的資産経営実践の指針 – 知的資産経営報告書作成支援調査・研究編 –
中小企業のための知的資産経営実践の指針 - 知的資産経営ファイナンス調査・研究編 –
事業価値を高める経営レポート(知的資産経営マニュアル)作成マニュアル
知的資産経営評価融資の秘訣(2009年4月)
http://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/guideline.html

しかしより本質的な問題として、平時から国の支援が厚過ぎることにより、金利の適切な市場形成が阻害されていることがあり、これが是正されない限り金融機関が企業を「生きている企業」として評価しリスクを取るということは出来ないのではないか、と僕は思います。

【リンク】

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