ソフトマンダトリー条項付きCBー旭硝子のケース

旭硝子は25日、CBを最大で1000億円発行すると発表した。調達資金のうち
700億円は、太陽電池向けガラスなどの設備投資や新技術の開発に投じ、300億円
は有利子負債の返済に充てる方針。

(日本経済新聞2009年11月26日17面)

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「CBは円建てで、海外市場で発行する。2012年満期(3年債)と2014年満期(5年債)の2本建て。1株当たり利益が一気に希薄化する事態を避けるため、5年債のCBは2013年2月まで転換制限条項を設ける。転換価格は未定だが、25日の株価終値(802円)の1.3倍になりそう。」(前掲紙)

ソフト・マンダトリー条項とは、取得条項によりCBが発行会社により取得される際に、株価が行使価額を下回っている場合には、株式と金銭が交付されるものです。これにより、満期償還日において現金により償還する場合に比して、支払金額を大幅に抑えることができます。この部分について、旭硝子は、

「ソフト・マ ンダトリー条項とは、償還日前の一定期間において、株価水準に関わらず、当社の選択により一定の 株主資本増強を可能とするスキームです。」

と説明しています。

旭硝子のソフトマンダトリー条項の内容は次の通りです。

「本新株予約権付社債(2012年及び2014年満期)には、下記の財産の交付と引き換えに本新株予約権付社債を取得する権利が当社に付与されます。当社が今回採用したソフト・マンダトリー条項では、当社は、自己の裁量により、2012年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債については2012年8月1日以降に2014年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債については2014年8月1日以降、一定期間の事前通知を行ったうえで、各本新株予約権付社債につき(ⅰ)取得通知をした日の翌日から起算して5取引日目の日に始まる20連続取引日の最終日において本新株予約権を行使した場合に交付されたであろう数の当社普通株式及び(ⅱ)本社債の額面金額相当額から(ⅰ)の株式数に1株当たり平均VWAPを乗じて得られる額を差し引いた額(正の数値である場合に限り、1円未満の端数は切り捨てる。)に相当する現金を交付財産として、残存する本新株予約権付社債の全部を取得することができます。

注: 1株当たり平均VWAP:当社が取得通知をした日の翌日から起算して5取引日目の日に始まる20連続取引日に含まれる各取引日において株式会社東京証券取引所が発表する当社普通株式の売買高加重平均価格の平均値」

ソフト・マンダトリー条項イメージ

2012年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債及び2014年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行に関するお知らせ」 3ページ

要するに株価が転換価格を下回ったら、その下回った部分については現金で決済するものです。

【リンク】

2009年11月25日「2012年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債及び2014年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行に関するお知らせ」旭硝子株式会社【PDF】