ジム・コリンズ氏インタビュー

米経営学者ジム・コリンズ氏は、企業勝ち残りの条件を描いた1994年のベストセラー「ビジョナリー・カンパニー」の著者として知られる。昨年は一転、前途洋々だった企業が没落する過程を描く「企業はどう落ちぶれるのか」を出版し、話題をさらった。
優良企業に潜むワナと、窮地から再生するための条件を聞いた。

(日経ヴェリタス2010年3月28日21面)

【CFOならこう読む】

ジム・コリンズ氏は成功から没落までを5段階に分けて説明しています。

1.成功と思い上がり
幸運を実力と勘違いする
2.規律なき欲望
実力以上の拡張に走る
3.リスクと危機の否定(株価は最高に)
都合の悪い事実を無視
4.救済への渇望
やみくもな対策で事態は悪化
5.降伏、あるいは死
身売りや破綻

「既存事業と合わない大型の買収も、無規律に成長を追っている兆しです。信じられないほどの高成長を何年も続けている会社は、「巨大化した会社を回していけるのか」と疑うべきです」(前掲紙)

無意味なM&Aは第2段階だけでなく第4段階でも行なわれます。

日本企業のM&A、特に供給過剰な業界で行なわれる、規模の追求をお題目とするM&Aはこの段階で行なわれるケースが多いように思います。

「ノックアウトされない限り、企業は生還できます。経営危機に直面した(90年代前半の)IBMも、(2000年前後の)ゼロックスも4段階の後半に追い込まれていました。再建できたカギはいくつもあります。まず有能なリーダーを得ること。再建を託されたIBMのルイス・ガースナー氏、ゼロックスのアン・マルケイヒ氏に共通するのは、名声を目的とせず、会社再建に集中したことです」(前掲紙)

有能なリーダーが日本にいないのだとすれば、日本企業は国外にその人材を求めざるを得ません。
そんな時代に1億円以上の年棒の経営者だけを懲悪的に開示させるのは、全くもって間違っていると僕は思います。

今重要なのはパイの取り合いではなく、パイそのものを大きくする施策です。

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