ソフトバンク、子会社株式売却により配当原資を確保
ソフトバンクは2日、子会社のヤフーなど2社の株式を別の子会社に売却したと発表した。ソフトバンク単独の2010年3月期決算で512億円の売却益を特別利益に計上する。配当原資の確保が狙い。
(日本経済新聞2010年4月3日15面)
【CFOならこう読む】
「売却したのはヤフー株113万2140株(発行済株式の1.9%)と欧州の持株会社の株式。売却先はグループ内の別の持株会社であるSBBMで、内部取引として相殺されるため、連結決算には影響しない」(前掲紙)
ソフトバンクは2008年3月期にも同様の取引で配当原資を捻出しています。持株会社は収益源に乏しく配当原資をこのような形でひねり出す必要がある場合があるのです。
そもそも持株会社の配当財源を単体財務諸表の剰余金に基づき算定することにそもそも無理があるのです。
連結財務諸表により配当可能利益を計算することを認めるべきです。会社法は連結配当規制適用会社となることを認めていますが、これは連結貸借対照表の株主資本等の額が単体貸借対照表のそれを下回る場合にその差額分だけ分配可能額から控除することを認めるもので、単体で配当原資がないが連結ではある場合に連結ベースで配当することを認めるものではありません。
「アメリカの州会社法には、株主への財産分配の限度額を連結貸借対照表に基づき算定するものがあり、この場合、親会社の個別貸借対照表上欠損があっても、親会社と子会社の連結貸借対照表上に分配可能額があればその限度で親会社が株主に対して財産分配ができることになる」
(「株式会社法 第2版」江頭憲治郎 有斐閣 613頁)
以前にも指摘しましたが、日本でも同様の制度が認められるべきであると、私は思います。
【リンク】
なし