金融所得一体課税に負の側面

・資本(金融)所得税が重いと成長を抑制
・主要国では税率が趨勢的に低下する傾向
・北欧諸国は労働諸国との二元的税を実現

(日本経済新聞2010年4月5日22面経済教室「包括的所得税に負の側面」土居丈朗)

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「昨年12月にまとめた税制改正大綱は今後の税制改革の方向性として、個人所得税は本来ならすべての所得を合算する「『総合課税』が理想」としつつ、「当面の対応」として「株式譲渡益・配当課税の税率の見直しに取り組むとともに、損益通算の範囲を拡大し、金融所得の一体課税を進める」と言及した」
(前掲稿)

これに対し、土居氏は、経済学の実証研究では、金融所得一体課税を行なうと経済活動を大きく阻害するため望ましくないという結果が数多く出ていると論じています。

例えば、ジャッド米スタンフォード大学教授やパリ・スクール・オブ・エコノミクスのチャムレイ教授は、

「資本所得は課税は長期的にはゼロとするのが望ましい」(前掲稿)

と結論づけています。

また米ハーバード大学のマンキュー教授も、「概して労働所得課税による労働供給への悪影響よりも資本所得課税による資本蓄積への悪影響のほうが大きいから、資本所得税はできるだけゼロに近い税率で課税するのが望ましいと主張している」(前掲稿)ということです。

さらにスウェーデンなど北欧諸国でも資本所得に累進課税は行なわれていないことが紹介されています。

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