鉄鋼大手、財務改善急ぐ

鉄鋼大手が財務改善を急いでいる。有力指標である「負債資本倍率(DEレシオ)」は
2011年3月期末、JFEホールディングスが3年ぶりに1倍以下になるなど、大手4社で軒並み改善する見通しだ。アジアの鉄鋼メーカーや資源権益などへの大型出資が増えるなか、強固な財務をもとに高い格付けを取得・維持して、今後の投資資金を調達しやすくするのが狙いだ。

(日本経済新聞2010年9月25日13面)

【CFOならこう読む】

DEレシオとは負債が株主資本の何倍であるかを示す指標です。

「各社が財務強化を急ぐのは海外投資案件に備えるためだ。国内鋼材需要の急回復が見込みにくいなか、JFEスチールに900億円出資するなど、アジアの鉄鋼・鋼材加工会社を囲い込んで輸出先を確保する動きが加速している。資源高対策として各社が力を入れる鉄鉱石などの権益取得にも、数百億円から数千億円という多額の資金が必要だ」(前掲紙)

資金調達すればDEレシオはそこでまた上昇するわけで、CFOとして重要なことは、
単純にDEレシオを引き下げることではなく、中長期的な資金需要に基づき最適資本構成を見定め、一定の格付けを維持しつつ、WACC(加重平均資本コスト)をコントロールすることです。

DEレシオが低下すればWACCは上昇するので、価値創造という観点からいうとDEレシオを引き下げ高格付けを維持することが必ずしも最適解とはならないところにCFOの仕事の難しさと面白さがあるのです。

【リンク】

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