フジタ上場廃止へ

フジタ信用不安回避へ先手

準大手ゼネコンのフジタへの親会社によるTOBが17日に終了し、東京証券取引所第二部を上場廃止となる。支援企業による上場廃止という異例の事態の背景には、優先株の普通株への転換による一株利益の希薄化や不動産市況悪化を懸念した株安への危機感がある。このまま放置すれば信用不安を招くと判断。株式市場からの退場を自ら選択した。

(日本経済新聞2008年11月22日14面)

【CFOならこう読む】

「フジタは旧フジタの建設部門が分離して2002年10月に設立。2005年9月にフジタHDを引受先に第三者割当増資を実施。普通株と優先株の発行で410億円調達した結果、フジタHDはフジタの発行済み普通株の44.8%と優先株すべてを保有する。フジタが憂慮するのは約889万株にのぼる優先株の存在。すべてを転換すると普通株数は約3億7700万株と現在の約12倍に膨らむ。一株利益の希薄化や需給悪化から「短期的に株価が下落する恐れがある」(上田社長)。
(前掲紙)

もとをたどると2002年10月の分割スキームがまずかったのかもしれません。

優良事業と思われた建設事業を分離するに当たり、分割会社が過半数の株式を保有するスキームを選択したため(みなし配当を回避するためと言われています)、その後の資本戦略に制約が生じるであろうことが、当時から指摘されていました。

その後、2005年9月にGS系投資会社フジタHDから410億円の出資を受ける際に、90%の無償減資、10:1の株式併合といった処理をせざるをないことになってしまいました。

そして今回の上場廃止です。2002年10月のときに中途半端な処理をしたばかりに、無駄に遠回りしてしまったと私には思えます。

【リンク】

http://www.c-direct.ne.jp/public/japanese/uj/pdf/10101806/00034423.pdf

平成20年9月25日「非上場の親会社である有限会社フジタ・ホールディングスによる当社株券等に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」株式会社フジタ
http://www.c-direct.ne.jp/public/japanese/uj/pdf/10101806/20080925160442.pdf

平成20年11月18日「非上場の親会社である有限会社フジタ・ホールディングスによる当社株券等に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」株式会社フジタ
http://www.c-direct.ne.jp/public/japanese/uj/pdf/10101806/20081118163583.pdf

  • 平成17年6月8日「「新中期経営計画」の一部修正とスポンサーの決定について」株式会社フジタ