社債の発行残高増加

上場企業の社債の発行残高が増えている。2008年6月末時点で、貸借対照表に記載された残高は35兆2039億円と3月末に比べ2.6%増え、2・4半期連続の増加となった。米国発の金融市場の動揺が続く中、M&Aなど成長投資や株主配分に活用する資金を、早めに固定金利で調達しようと動いている。
(日本経済新聞2008年9月3日 17面)

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リチャード・クー氏が「日本経済を襲う2つの波」で指摘するように、日本はバランスシート不況から脱しようとしています。

バブル崩壊後借金返済に汲々としてきた日本企業は、ここにきて過剰債務が解消され、新たにお金を借りて新規投資に向かう気持ちになりつつあるのです。

CFOの重要な仕事としてディズニーの元CFOゲイリー・ウィルソンはHBR誌のインタビューの中で次のように語っています。

「戦略的なCFOが重視する点は2つある。第1は、会社の戦略目標を達成するために、資金を効率的に投資すること。第2は、最適の資本コストで資金を調達すること。」

バブル前は銀行がコーポレートガバナンスの中心にいて、このようなことを考える必要はなく、バブル後は借金を返すことが至上命題でしたから、最適資本構成は無借金であることでした。そういう意味で、ようやくCFOがCFOとしての本来の仕事が出来る時代が初めてやって来ようとしています。

発行体格付を落としても、資本コストの点からSBによる資金調達を選択したエーザイのケースはそのことを象徴しているように私には思えます。

【リンク】

日本経済を襲う二つの波―サブプライム危機とグローバリゼーションの行方
リチャード・クー

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