「2010年度当面する企業経営課題」調査

会計基準の変更への対応を課題に据える上場企業の経営者が約6割に達し、前年の調査から急増したことが日本能率協会の調査で分かった。IFRSの
適用を見据え、対応を検討する経営者が増えていることが浮き彫りになった。

(日本経済新聞2010年10月23日13面)

【CFOならこう読む】

「財務の課題を答える設問で「会計基準・制度の変更への対応」をあげた経営者は全回答者の42%(前年比15ポイント増)、上場企業のみでは61%(同25ポイント増)に達した。IFRS適用の経営への影響についての質問には上場企業の58%が「影響がある」と答えた」(前掲紙)

日本能率協会が行っているこの調査、今回で32回目だそうです。2010年度の調査結果はまだ公表されていませんが、昨年までのものはウェブで見ることができます。

財務の課題のうち「会計基準・制度の変更への対応」をあげた経営者は、2008年度が17.9%、2009年度が26.6%、上場企業のみでは2008年度が16.9%、2009年度が35.3%でしたからやはり大きく増加していることが分かります。

ちなみに2009年度調査で上場企業が財務の課題として重視している領域は、

1位 製造コスト、仕入原価、管理費用削減
2位 財務・経理業務の効率化・迅速化・正確性向上
3位 内部統制システムの確立、財務関連のコンプライアンスの遵守

と続き、その後が会計基準・制度の変更への対応でした。

資本構成、資金調達構成の最適化が10.9%、経営トップへの財務戦略提案能力の向上が8.8%あたりは財務部門の重要な仕事ですが、意識としては少し低いように思います。

驚くべきは税務対策、税リスクマネジメントの5.0%という数字。

多くの上場企業にとってタックスマネジメントはコンプライアンスの領域に含まれるということなのでしょうが、言うまでもなく税金は利益に対し40%を占める最大のコストだけに、しっかりとした意識を持ってタックスコスト削減に向けて努力すれば税引後利益の姿は大きく変わる可能性があります。

将来の課題として上場企業の経営者が株主価値向上を上位(8位)に挙げていますが、そうであるならタックスマネジメントは尚更重要です。

【リンク】

「日本企業の経営課題2009」社団法人日本能率協会 [PDF]