更正の請求ができる期間延長へ

政府税制調査会は1日、納税者が税務署に対して納税額の減額修正を求める「更正」について申告期限後1年間としている請求期間を3年間以上に延ばす検討に入った。
(日本経済新聞2010年11月2日1面)

【CFOならこう読む】

確定申告の内容が間違っていた場合の手続きは、税額を多く申告していた場合と少なく申告していた場合で異なります。税額を多く申告していた場合には、「更正の請求」によります。税額を少なく申告していた場合には、「修正申告」によります。

これって普通の人には何を言っているかわからないと思います。そもそも言葉の意味がわからないですよね。

更正•••税務署長は、申告された課税標準等または税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったとき、その他その課税標準等または税額等をその調査したところと異なるときは、その調査により、課税標準等または税額等を更正することができる。更正は、税務署長が独自に行う場合と「更正の請求」に基づいて行う場合とがある。税額を増加させる更正を増額更正といい、税額を減少させる更正を減額更正という。更正の請求ができる期間は、原則として、法定申告期限から1年以内である。

修正申告•••納税義務者は、申告をしたのちに、申告にかかる税額が過少であること、申告にかかる
純損失等の金額が過大であること、申告にかかる還付金の額に相当する税額が過大であること等に気付いたときは、更正があるまでは、その申告にかかる課税標準等または税額等を修正する内容の申告をすることができる。これを「修正申告」という。

修正申告は、申告等の内容を自己の不利益に変更する申告であり、申告内容を自己の利益に変更しようとするときは、更正の手続によらなければならない。
(金子宏著 租税法15版 弘文社)

つまり税額を多く申告していた場合には、「修正申告」が出来ず「更正の請求」によるしかなく、しかもその期限はたった1年しかないということです。

「請求期間の見直し案としては、5年まで認められている納税額の増額修正申告(修正申告のこと:筆者注)に合わせる案や、増額修正申告の期限も見直し、ともに3年とする案などが挙がっている」(前掲紙)

しかしそもそも論として、税額を多く申告していた場合と税額を少なくしていた場合で何故手続きが異なるか一般には理解しがたいと思います。

申告を間違えたときにどうするかなどという基本的な事柄は、言葉の使い方も含めもっとわかりやすいものであって欲しいものです。

【リンク】

「確定申告を間違えたとき」国税庁