来年度税制大綱を決定

政府は16日の臨時閣議で、2011年度税制改正大綱を決めた。経済活性化や雇用拡大を狙って法人税率を12年ぶりに引き下げ、地方税を含めた実効税率を先進国で最高水準の40%から5%下げる。個人向け税制は、所得税の控除縮小など高所得者や富裕層に多くの負担を求める内容となった。消費税増税を含む抜本改革は先送りした。
(日本経済新聞2010年12月17日1面)

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税制改正の法人税に関する概要は、すでに12月15日のポスト「法人税率5%引き下げの財源案まとまる」でお知らせしています。法人税以外の分野でもお話ししたい改正点はいくつかあるのですが、今日は個人の寄付控除について簡単に触れておきたいと思います。

「国が認定する非営利組織(NPO)などへの個人による寄附を促すため、所得税額などから寄付額の半分を差し引く税額控除を新設する。来年1月以降の寄附に対し適用する。税額控除の対象となるのは一定の基準を満たして、国から「認定NPO」として指定されたNPOへの寄附。同様の基準を満たせば、公益法人、学校法人、社会福祉法人への寄附も税額控除の対象とする。寄付金額から2000円を引いた額の40%分を所得税額から、同10%分を住民税額から控除する」
(日本経済新聞2010年12月17日5面)

ただし所得税額控除は所得税の25%が限度となります。

2010年2月5日のポスト「寄付金税制のあり方」で、個人の寄付金が今後重要になることと、税制上所得控除ではなく税額控除に変更すべきことをお話ししました。税額控除というのは、所得の再配分を国家に委ねるのではなく、個人の意思に委ねるということに他なりません。そしてその方向性は基本的には正しいと思います。

今回の改正では所得税の25%までという制限がつきましたが、こんな制限は近い将来なくしてしまうことが望ましいと思います。それには寄附という形で多くの支持を集められるNPOが数多く必要となります。NPO自身の努力も今まで以上に重要になると思います。

【リンク】

2010年12月16日「平成23年度税制改正大綱」 [PDF]