TCI、Jパワーの株主総会に向け委任状争奪戦へ

TCI 委任状勧誘開始 Jパワーと争奪戦

英系投資ファンド、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)は21日、株式の9・9%を保有するJパワー(電源開発)に対して求めている増配などの株主提案を株主総会で可決するため、他の株主の賛同を募る委任状の勧誘を始めると発表した。Jパワーが会社提案する中垣喜彦社長の取締役再任議案にも反対する。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200805220055a.nwc

【CFOならこう読む】

TCIが行う委任状勧誘の対象となる議案は次の通りです。

<株主提案に係る議案>

1. 株式持合い・株式投資に対する制限
定款において、株式持合いを含む株式投資を総額50 億円に制限
2. 社外取締役の導入
定款で、最低3 名の社外取締役枠を設定
3. 期末配当案(その1)
期末配当を1 株につき90 円とする(年間合計で120 円)
4. 期末配当案(その2)
期末配当を1 株につき50 円とする(年間合計で80 円)
5. 自己株式の取得
総額700 億円の自己株式取得枠を設定

<反対する会社提案に係る議案>
6. 期末配当案
期末配当を1 株につき40 円とする(年間合計で70 円)
7. 中垣喜彦氏の取締役選任の件

この株主提案は、当ブログで5月16日(https://cfonews.exblog.jp/7947236/)と5月19日(https://cfonews.exblog.jp/7965979/)にとりあげたコーポレントガバナンス白書の推奨に従ったものです。

TCIの狙いは、日本的な安定株主政策の不合理性を論点としたうえで、特に機関投資家にプレッシャーをかけることにあります。
プレスリリースの中でTCI代表ジョン・ホー氏の次のコメントを紹介しています。

「私たちは、日本生命保険、みずほグループ、三井住友銀行、T&D ホールディング、鹿島建設といった取引先株主又は持ち合い株主がどのようにして深刻な利益相反を回避し、どのような基準に基づいて議決権の行使方法を決めるのか、注意深く見守っていかなければならないと考えています。」

事態はゲゲゲの鬼太郎の妖怪世界戦争のような様相を呈してきました。

【リンク】

2008年5月21日「J パワー第56 回定時株主総会に関する委任状勧誘ならびに持ち合い株主・取引先株主の利益相反に関する問題提起」ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスター・ファンド
http://www.tcifund.jp/pdf/news_jp27.pdf