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FAS159-負債の時価評価

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今日は、4月23日のエントリーの続きです。

エントリーの中で、「多くの人が”会社の財政状態悪化”→”利益計上”というベクトルに違和感を感じる」が負債の時価評価を行うことは理論的である、ということを書きました。

この点岩村充氏(早稲田大学大学院教授)が「企業金融の理論と法」(東洋経済新報社)でとてもわかりやすく説明しているので引用してみます。

「こうして負債の時価評価を議論するときに多くの人の頭を悩ませるパラドックスがある。それは、企業の信用度の低下が負債の時価評価を通じて企業財務を改善したり、信用度の向上が企業財務を悪化させたりするという、常識とは反対のように見える現象をどう考えるかという問題である。

しかし、これが実はパラドクスでないことは、本章の説明を理解した読者には明らかなはずである。ここで会社に利益が発生したように見えるのは、企業のリスクの増大が外部債権者から株主への富の移転を生じさせたからであり、その限りでは不思議な現象ではないからである。事態がパラドクスのように見えるのは、私たちが、何の理由もなく企業の信用度が改善するとか悪化するといった状況を想定したからで、その原因まできちんと時価評価すれば、起こっていることは、第1次的には会社の企業価値そのものの変化であり、社債時価の減損は企業価値の低下がもたらした第2次的なものであることに気がつくはずだろう。そうだとすれば、負債としての社債時価の減価が生じたこととしても、その減価の程度は企業価値の低下と等しいか、それを下回るはずだということにも気が付くはずである。社債の市場価格が減損するということは、自社社債のディフォルトの危険が高まっていることを市場が評価した結果であり、社債のディフォルトとは株式会社の有限責任性を利用した債務の「踏み倒し」にほかならないのだから、そうした「踏み倒し」によって株主が社債権者に転嫁したリスク分だけ負債の評価益が発生するのは当然で、パラドクスでも何でもないのである。事態がパラドクスのように見えるのは、会社の負債の市場価格が信用度の低下により大きく減価するような事態が発生している以上、会社の資産内容に対する市場の信認が大きく損なわれているはずなのに、その点を無視して負債の時価減少の効果だけを議論したからなのである。」

【リンク】

企業金融の理論と法 企業金融の理論と法
岩村 充

東洋経済新報社 2001-11
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