住友軽金属工業、公募増資発表後株価急落

20日の東京株式市場で住友軽金属工業株が急落し、前日比13%安の84円で引けた。この日の東京証券取引所第1部で下落率首位になった。前日に公募増資を発表。増資後の発行済み株式数が最大で約35%増える見通しで、1株利益の希薄化を嫌った投資家の売りが集中した。
(日本経済新聞2011年5月21日15面)

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以下プレスリリースより、増資の概要を抜粋します。

「1.今回の増資による発行済株式総数の推移
現在の発行済株式総数       432,038,867株 (平成23年5月18日現在)
公募増資による増加株式数     130,000,000 株
公募増資後の発行済株式総数    562,038,867 株
第三者割当増資による増加株式数   19,500,000株
第三者割当増資後の発行済株式総数 581,538,867株

2.増資の理由(増資調達資金の使途)
今回の公募増資及び第三者割当による手取概算額合計上限(平成 23 年 5 月 12 日(木)現在の株式会 社東京証券取引所における当社普通株式の終値を基準として算出した見込額)12,767 百万円について、 12,420 百万円を米国アルミニウム板圧延製造販売会社(ARCO)の株式を 100%取得するために設立した、 共同持株会社ARROW Aluminum Holding Inc.(注)への当社出資分に充当する予定です。また、支出予定 時期は平成 23 年 7 月から 9 月までを予定しております。残額が生じた場合には、平成 24 年 3 月までに 金融機関からの長期借入金の約定弁済の一部に充当する予定です。
これにより、当社は財務基盤の確立を図るとともに、北米・中南米市場におけるプレゼンスを獲得し、 グローバルマーケットにおける供給体制の構築を加速してまいります。ただし、各国競争当局の審査状 況等の事情又は外部環境の変化を含む諸事情によって払込時期が変更又は株式の取得ができなくなった 場合は、全額を平成 24 年 3 月までに金融機関からの長期借入金の約定弁済の一部に充当する予定です。
なお、今回の資金調達に関して、借入金等様々な方法を検討致しましたが、上記資金使途及び冒頭の 「本資金調達の目的」に記載のとおり、今回の資金使途が成長戦略投資であり、また、当社グループの 財務基盤の確立に寄与することから、公募増資による調達を行うことといたしました。これにより、当 社グループの今後の企業価値及び株主価値向上に資するものと考えております。 (注)共同持株会社は、当社(40%)、古河スカイ株式会社(35%)、住友商事株式会社(20%)、伊藤忠
商事株式会社(2%)及び伊藤忠メタルズ株式会社(3%)との共同出資(括弧内は出資比率)に より設立しました。」
「新株式発行及び株式売出し並びに主要株主の異動に関するお知らせ」住友軽金属工業株式会社 [PDF]

この買収により、これまで販売実績のない北米や中南米市場に進出するとのことですが、

「買収による収益押し上げ効果が見えにくい」(前掲紙)

との指摘も出ています。

【リンク】

平成23年5月19日「新株式発行及び株式売出し並びに主要株主の異動に関するお知らせ」住友軽金属工業株式会社 [PDF]