IFRSの投資判断有用性

企業にとっての望ましい投資家と、市場にとっての望ましい投資家とは違うというのが、証券市場に内在する根本的な問題である。その結果、投資家保護あるいは投資家利益を考える場合にも、市場関係者と企業経営者の考え方は違ってくる。両者が想定する投資家が異なるからである。
(日本経済新聞2011年10月26日19面 大機小機)

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「その結果、市場関係者が決める規制やルールが企業経営者にはゆがんで見えてしまう。その典型がIFRSである。市場関係者は、世界共通の会計基準で比較をしながら大量の売買をする投資家を考えて、売買の判断が容易になるような会計基準をつくろうと考える。それに対して、企業経営者は、自社の独自性を評価してくれる株主にとって、このような標準的な会計基準はほとんど無意味であると考えてしまう」(前掲紙)

世界的に著名な多くの会計学者が、IFRSの投資判断有用性について疑問の声を投げかけています。

例えば世界の会計研究をリードするシャム・サンダー氏(米イエール大学教授、アメリカ会計学会元会長)は、「この論文が構築しようとする体系全体が(IFRSを指すー筆者注)•••砂上の楼閣である」とする厳しい批判を寄せています。

IFRSの反対者は、投資判断に有用な会計基準を否定しようとする者ではなく、その投資判断有用性について否定している者であることに留意する必要があります。

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