前向きな減損処理

ものの見方や考え方を整理する時に大切にしていることがある。「本質的」「中長期的」「多面的」の3つの視点を持つことだ。いかなる事案も本質的なところから掘り返し、中長期的な視点に立って結論を導く必要がある。より多面的な視点から検討を加えることも重要だ。
(日本経済新聞2012年5月30日17面 大機小機)

【CFOならこう読む】

「上場企業の決算発表の中で気になったのが、のれん代や設備などの「減損処理」という言葉だ。新聞記事で目にする機会が増えたと実感する人も多いと思うが、企業側はこの言葉をどちらかと言うと前向きなイメージで使っていると思われるケースが多い。だが実際には、減損処理は損切りを意味しており、むしろ後ろ向きな言葉として認識すべきである」(前掲紙)

いやいやそれは違います。減損を前向きに捉えている経営者などいません。出来れば回避したいとみんな思っています。

それでも減損処理せざるを得なくなった場合に、それをどう表現するかは会社や経営者によって異なります。

それは我々が日常生活の中で失敗したときに、自己の非を認めわびる姿勢を前面に出すか、明日の糧にするという前向きな姿勢を前面に出すか、言い訳に終始するか人によって違うのと同じです。

しかし本人がどう言おうと失敗は失敗です。

経営者がいくら前向きなイメージで語ったからと言って、その言葉をそのまま額面通り受け取るのは、あまりに「本質」を見誤っています。

例えば経営者が、「保守的な会計処理を行った」と言った場合には、ああ言い訳してるな、と思えば良いのです。

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