年金問題、CFOに聞く

多くの企業にとって年金が業績や財務の重荷となるなか、各社とも負担の軽減を目指した対策に知恵を絞っている。NEC(川島氏)と商船三井(青砥氏)のCFOに取り組みを聞いた。
(日本経済新聞2012年12月14日17面)

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両社の取り組みの概要は以下の通りです。

1.年金の積立不足問題への対応

NECー積み立て不足3000億円
十数年で解消出来る様掛け金の拠出を行う。
運用利回り2.5%を達成する。

商船三井
積み立て不足の影響はほとんどない。

2.運用戦略

NEC
国内外債券70%、株式30%

商船三井
国債等75%、株式等利回り追求25%(代替投資10%)

3.確定拠出年金を導入する予定は

NEC
一部導入済み

商船三井
予定はない。従業員には本業に集中してもらう。

日本の退職金制度も、終身雇用と年功序列を前提に制度化されてきたもので、昨日のエントリーでも書いたように、もはやこれを維持することは不可能なのに、退職金制度だけ維持することには無理があります。
就労の形態は従業員個々異なるのが普通になっていくこれからの時代に、運用戦略まで会社に一任するのはどう考えても矛盾があります。

そもそも確定給付といったところで、それは株主のリスクのもとで行われるわけで、確定給付年金を維持することが株主価値創造にいかに貢献するかについて明確な見通しを持てない限り、これを維持する大義がないことになります。

その点両社のCFOの次の言葉、つまり、川嶋氏の「これ(積み立て不足)がバランスシートに反映されれば確かに自己資本比率などは悪化する。ただ、もともと想定していたことで、特に資金が必要になるわけでもない」ということを面と向かって平然と株主に言うことができるのか、青砥氏の「(年金の運用を)従業員に任せるよりも、従業員に本業に集中してもらうことが、企業の競争力につながる」というのも何を根拠に言っているのか、確定拠出年金になると従業員は本業を放り出して年金の運用のことを始終考えるようになるとでも言うのか、疑問を感じざるを得ません。

【リンク】

なし