起業を増やして経済の活力を高めよう

脱デフレを掲げる安倍政権の登場で、日本経済は活気を取り戻しつつある。この勢いを一時的なものに終わらせず、息の長い成長につなげたい。重要な課題の一つは、次の時代を切り開く新しい企業を育て、停滞しがちな日本の産業の新陳代謝を促すことだ。
(日本経済新聞2013年2月20日2ページ)

【CFOならこう読む】

「企業創出の重要性は長らく指摘されてきたが、数字で見る限り情勢は甘くない。日本の新規株式公開は2000年の204社がピークで、その後、減少傾向をたどり、去年は46社だった。1年間に新規に生まれる企業の数を全企業数で割った開業率も、米英が10%を超えているのに対し、日本は5%程度にとどまる。だが、目を凝らせば、変化の予兆もみえる。若い世代を中心に「自ら企業をつくろう」という機運が徐々に高まっているのだ。」(前掲紙)

そういった機運の高まりを私も肌で感じます。しかし起業しやすい環境が整備されているとは言い難い日本の相も変わらぬ現状があるのもまた事実です。

例えばスタートアップ時のファイナンス。日本ではこれが難しい。制度融資的なものはあるにしても所詮はデットです。スタートアップ時の資金調達はエクイティで行うべきものですが、この部分を担うプレーヤーが圧倒的に少ない(VCも含め)。

また、エクイティで資金調達する際に、起業家の持分を一定程度確保するためには、株式報酬を付与することが必須ですが、税制を中心とした法制度の不備により、ストックオプション以外の株式報酬の利用が難しい。

日本では、米国の制限付株式(Restricted Stock)と同様の趣旨で、1円ストックオプションを利用するケースが増えています。

商事法務2013年2月5日号「役員報酬改革の新潮流と今後の諸論点(下)」で日本版Restricted Stockとして、BIP信託なるものが紹介されていますが、そもそも普通にRestricted Stockを付与できないこと自体が問題だと私は思います。

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