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日本取締役協会、経営者報酬に関する法規制や税制の改正要望をまとめる

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日本取締役協会は、このほど、上場企業の経営者報酬に関する法規制や税制の改正要望をまとめた。
(日本経済新聞2013年4月22日15ページ)

【CFOならこう読む】

「役員の自社株保有を増やして長期的な株価上昇につながるよう株式利用型報酬制度を
使いやすくする必要があると指摘。報酬の一形態として譲渡制限付きの株式を利用できるよう
にするため、法人税法や所得税法の改正を訴えている」(前掲紙)

日本取締役協会 経営者報酬ガイドライン(第三版)と法規制・税制改正の要望2013の「要望4 譲渡制限付株式などグローバルに利用されている報酬制度が、日本では法規制や税制などが障害となって利用できないということのないようにすべきである。」では現行税制に関し以下の問題点を提起しています。

「日本の現行税法では、株式利用型報酬については、法人における損金算入や個人への所得税 の課税タイミングについて、不明な点が多い。とりわけ、役員に対する報酬の場合には、日本においては、法人税法第 34 条により損金算入のた めには事前(役務提供前)の金額確定が前提とされるため、損金算入に困難を伴うことが多い。退職 金や一定のストックオプションの場合は、法人税法第 34 条の適用除外となり、事前確定等がなくとも 損金算入が可能とされているが、退職金であっても株式利用報酬である場合や、ストックオプションで あっても発行法人の子会社の役員に付与される場合となると、発行法人側、子会社側の双方におい て、その損金性は不明である。

個人に対する所得税課税は、株式利用型報酬の権利確定時に行われるのが原則だが、たとえば、 譲渡制限株式については、現行税法では課税のタイミングは明確にされていない。仮にその付与時 に所得税が課されるとすれば、譲渡制限が付されているため売却して納税資金を確保することはで きず、担税力の問題から報酬ツールとしては不適切ということになろう。欧米(たとえば、ドイツ、イギリ ス、アメリカ等)では、譲渡制限付株式については、税法上で詳細な要件(国により要件は異なる)が 設定され、その報酬プランの具体的な状況、たとえば、付与時の議決権や配当権の状況、譲渡制限 される期間、没収の可能性などに応じて、課税のタイミングが決定されるようだ。
さらに国によっては、納税者個人の選択により、譲渡制限の解除時ではなく、あえて付与時に課税 とすることを可能とする国もある。(担税力のある個人の場合、株価の上昇基調では早期の給与課税 が有利。但し、付与時課税の選択により、制限解除時に株価が付与時価額を下回っても給与所得の 調整は不可)日本において、譲渡制限付株式を報酬ツールとして機能させるためには、税法上で所 得確定の具体的要件を整備することが望まれる。」(前掲紙)

米国連邦税法(IRC§83)は、譲渡制限付株式について、譲渡制限の解除時に課税することを原則としながら、付与時課税を選択することも可能としています(83(b) electionと言います)。

株式報酬というと、上場会社の役員に対し付与するものをイメージしがちですが、米国ではスタートアップ企業の創業者に株式報酬を付与し、創業者は83(b) electionを利用し、付与時課税を選択するのが一般的になっています。
これにより、例えばその会社がIPOをしたとしても、株価上昇分はキャピタルゲイン課税(通常所得課税と比べ優遇されています)を受けることが出来るのです。

スタートアップ時のベンチャー企業にVC等が投資するケースが徐々に日本でも増えつつあります。そうすると、創業者が一定の持分を維持するために、株式報酬を付与することも選択肢の一つとなっていくと考えられます。
米国では創業者の役務提供の対価が通常所得ではなく、キャピタルゲインとして課税されることに批判がある(例えばhttp://subchaptertax.wordpress.com/2012/02/10/tax-consequences-of-facebooks-ipo/)もののこういった税優遇措置が起業を後押ししているということもまた事実です。

そういった意味でも、今般の日本取締役協会の要望は的を得ていると思います。

【リンク】

2013年4月12日「2013年度経営者報酬ガイドライン(第三版)と法規制・税制改正の要望」日本取締役協会 [PDF]

 

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