米、税制改革が先決

米上院小委員会はアップルがアイルランドに持つ複数の子会社を利用して数十億ドルの納税を回避した。不誠実な多国籍企業と税金の安い国を攻撃したいと考えている人たちはこの機会を逃さないだろう。
(日本経済新聞2013年5月23日6ページ 英フィナンシャルタイムズ特約)

【CFOならこう読む】

「だが上院議員はもっと自国の問題に関心を払ったらよいのではないか。米国の税制はあまりにも複雑で、二重課税防止の原則が二重のゼロ課税原則へと退化しているからだ。」(前掲紙)

米国では、連邦税に関し、法人税を課す企業体を明示した上で、それ以外の事業体については、事業体課税かパススルー課税かを選択できる仕組みを有しています(チェック・ザ・ボックス規則と言います)。

外国孫会社までチェック・ザ・ボックス規則を適用することが認められているため、これを利用した租税回避が横行しています。

多くの米国の多国籍企業はこの規則を巧妙に利用し、「二重のゼロ課税原則」を達成していると言われています。

しかし、だからと言って単純にチェック・ザ・ボックス規則を廃止すべきということにはなりません。
法人税の対象となる法人概念を正確に定義することが困難であるため、多くの事業体について法人税を課さず、構成員課税を選択することが認められているのです。

米国の税制は、多くの判例が積み重なって構築されているので、個々の条文改正で抜け穴を塞ぐのも簡単なことではないのです。

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