中小企業と個人保証

中小企業向け融資の8割には現在、経営者の個人保証がついている。この個人保証を巡っては、
金融機関と中小企業との間で意見が対立する。金融機関は融資の安全を確保するために必要とする
一方、中小企業の経営者は経営の自由度を制約するとの理由から、個人保証に否定的な声が多い。
(日本経済新聞2013年8月13日19ページ)

【CFOならこう読む】

「法人中小企業の7~8割は赤字の小規模企業であると推測することもできる。赤字でしかも小規模ならば
、金融機関が経営者に個人保証を求めるのは経営判断上、仕方ない面もある。」

本来、赤字企業が継続企業であり続けることはできないはずです。にも関わらず赤字企業のほとんどは
意図的に赤字を選択していると考えられます。

「さらに赤字の背景を検討することも重要だ。多額の役員報酬の支払いで会社の利益を家計に付け替え、
赤字になっているとの企業もあるとの見方が多い。」(前掲紙)

つまり経営者と企業が混在となっているわけで、こういう会社に融資するためには個人保証が必要との金融機関の考え方は理解できます。

この問題を解決するためには、経営者と企業が一体となっている実態に合わせ、企業には課税せず企業の利益を構成員の所得として認識するパススルー課税の制度を日本でも導入する必要があると思います。

役員報酬の支払いで会社の利益を家計に付け替えることで、実質的にパススルーが認められていると見ることもできますが、問題は、会社で経費を利益から控除した上でさらに給与所得控除を取ることができる点です。

このタックスメリットが法人成りをする最大の誘因となっています。
国側は、これを防ぐために役員報酬の損金算入要件を厳格化することで対応していますが、これにより自由な報酬設計を阻害するという大きなデメリットが生じています。

ここはパススルー課税を制度上正式に導入した上で、これを選択した事業者には事業所得が黒字である限り、融資の際に個人保証は要しない、選択しない場合には法人所得が赤字である場合には個人保証を要するという様な仕組みにしたら良いのではないでしょうか?

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