米国の租税戦略

米国の多国籍企業の租税回避が国際的に問題となっている。租税回避とは、違法な脱税でも合法な節税でもないグレーゾーンで、行き過ぎると税務上否認されることもある。しかし、どんなスキームがそれに当てはまるのか統一基準はなく、各国ともケース・バイ・ケースで対応している。説明した。6月3日の定時総会をへて就任する。法人税制改革や中韓との経済交流の推進など、課題を抱えたうえでの船出となる。
(日本経済新聞2014年1月16日17ページ )

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「不買運動が起きたスターバックスは有名だが、より本質的なのは「ダブルアイリッシュ・ダッチサンドイッチ」と呼ぶ複雑なスキームを使ったアップルの事例だ。米国やアイルランドの法制度とオランダの租税条約をうまく活用し、アップルの無形資産から生じる米国外の使用料(ロイヤルティー)をタックスヘイブンのバミューダに非課税で留保し、必要に応じて米国本社の研究開発費用を賄う仕組みである。
(中略)
問題は、米国政府に本気で租税回避を取り締まる意向があるのかどうか疑わしい点である。このスキームを許す米国の法制度については、10年以上前から問題視されていたにもかかわらず、今まで放置されている。」(前掲紙)

問題なのは、米国の法制度だけではありません。アイルランドやオランダや場合によってはスイスといった国々の法制度と租税条約を組み合わせることによって様々なプランニングが可能になっているのです。しかしだからといって、それぞれの国家戦略に従って構築されている法制度を他国が否定することはできません。

OECDが解決への道筋を示すことができるかもしれませんが、それよりも何よりもわが国はわが国の国家戦略を持ち、その上でOECDの議論をリードすることが求められます。

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