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給与所得控除はオーナー経営者を利する


(法人税率引き下げの)代替財源として、所得税制の見直しも有力な方策である。法人税制との整合性を考えると、給与所得控除の見直しが挙げられる。給与所得控除は一見すると給与収入しかない従業員を守る仕組みに見えるが、実はオーナー経営者を利する不公平税制である。
(日本経済新聞2014年3月13日28ページ  経済教室 税率下げの財源を 土居丈朗慶応義塾大学教授)

【CFOならこう読む】

「非上場企業のオーナー経営者は自分で稼ぐ所得を、配当で得るか給与で得るか事実上独善的に決められる。企業利益が1600万円あって、全て配当で分配するとしよう。このとき、まず法人税(25・5%、408万円)が課され、残った1192万円が配当され、経営者の課税所得として所得税が課される。
 ところが、同じ1600万円を自らの給与とした場合、法人税法上は企業の損金となり、法人所得は0、法人税額も0となる。その上、給与から245万円の給与所得控除が認められる。さらに、この給与を配偶者と分け合う形で分配すると、2人とも給与所得控除が適用され、給与所得控除額は合計400万円に増える。1人当たりの所得が減るため税率も下がる。その分、所得税負担が大きく減る。」(前掲稿)

仰ることは正論ですが、だからといって給与所得控除自体を減らすのは反対です。
給与所得控除は、伝統的に、①概算経費、②担税力の調整、③捕捉率の調整、④金利調整といった性質を有しているとされているからです。

より本質的な問題はどこにあるか?
問題は事業所得が給与所得に転換されているところにあるのです。
非上場企業の多くは、株式会社でなければ事業ができない、ということはないでしょう。
個人事業として営めば事業所得となるのに、会社として営めば経費を差し引いた上にこれを給与という形でオーナーに分配することで給与所得控除まで引けるという点に問題があるのです。

米国では多くの個人事業が税法上パートナーシップとなる事業体により営まれます。
パートナーシップには法人税が課されず、パートナーシップで稼得された所得は、構成員の所得として課税されます。
このときパートナーシップの所得の属性は構成員レベルに引き継がれます(パススルー課税といいます)。

日本ではパートナーシップ(組合)に関する税法上の取扱いが明確になっていません(通達レベルで規定されているだけです)。
法人税改革と同時にパートナーシップ課税制度を整備し、個人事業についてはパススルー課税により課税する、又は個人事業主はパススルー課税により課税される事業体により事業を営むように促す、のが良いと私は思います。

例えば合同会社(LLC)は、法人であるという理由から法人税が課税されますが、抜本的な法人税改革を行うことにより、パススルー課税されるように改めることを期待します。

【リンク】

なし

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