【資本政策詳解】paperboy&co.

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paperboy&co.の株式上場の概要は次の通りです。

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paperboy&co.は、2003年設立、個人向けにサーバー貸し出しなどのホスティング事業や(EC)電子商取引支援、ブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などのコミュニティー事業を展開している会社です。GMOインターネットの子会社です(上場直前時点ほ57.7%保有)。

公募価格は1900円、2008年12月期見込みEPSが179.67円なのでPER10.5倍という水準での株式公開となりました。先日のグリーがPER22.2倍でしたので、それと比べると公開価格は相当に低いと言えます。初値は4000円で、公開価格の倍以上の値がつきましたが、これはIPO市場の回復を示すものではなく、単に公開価格が低かったということなのかも知れません。

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paperboy&co.の主な資本政策は (表2)の通りです。

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2004年3月の第三者割当増資によりGMOインターネットの連結子会社になりました。
家入社長は、2006年5月に社員持株会に2株及び12月にGMO関連の会社に24株株式移動を行っています。逆算すると、家入社長の持株は、第三者割当増資時点で127株であったことになり、第三者割当増資によりきっちりGMOインターネットが発行済株式255株の過半数の持分を保有するに至ったと推定されます。

(表3)は、paperboy&co.の株主構成です。

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上場後もGMOインターネットが過半数の持株を維持する資本政策になっています。

親子上場がコーポレートガバナンスにおける大きな問題となっている中、このIPOに問題はないのでしょうか?

上場時の記者会見で家入氏は次のように答えています。

―親子上場が批判されているなか、あえて上場した理由は。
家入社長:GMOグループ全体としてホスティングをやっているが、ペーパーボーイは個人向けで完全にすみ分けができている。さらに事業を拡大するために上場した。

―公募増資をした後のGMOの出資比率は。
家入社長:今は、分からない。」
(「ペパボ」上場、初値は大幅上昇 会見はドタバタより抜粋
http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMITac000019122008&landing=Next)

目論見書を見る限り、関連会社との取引は少なからず存在し、その中には親会社に対する寄託金3億円(現時点において契約解消済)なんていうのもあるところを見ると、親会社と少数株主との間に重大なコンフリクトが生じる可能性があると思います。そもそもGMOに出資比率を即座に答えられない家入社長には、コーポレートガバナンスへの意識が欠如していると言わざるを得ません。

スピンオフが税制上実行不可能な現状において、親子上場は致し方ない場合もありますが、このIPOは正直私には理解できません。

【リンク】

株式会社paperboy&co.