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【資本政策詳解】モブキャスト

モブキャストの株式上場の概要は次の通りです。

モブキャストは、2004年設立、モバイルエンターテインメントプラットホームの運営を行っている企業です。
公募価格は800円、予想PER8.2倍という水準での株式公開となります。

2010年12月期は売上4億円から2011年12月期は売上20億円と大きく売上を伸ばし手のIPOとなります。

第三者割当増資により事業資金の調達を行ってきています。

注3の株式報酬型新株予約権の行使(行使価格1円)が注目されます。

上場会社では長期インセンティブとして利用されるケースがありますが(2011年10月8日「取締役の業績連動報酬、算定方法の開示広がる」)、未上場会社の資本政策としても利用されるようになっています。

上場直前時点で筆頭株主は藪社長ではあるものの、持株比率は44%しかありません。他の取締役と合わせて50%超を確保する資本政策になっています。

従業員のインセンティブはストックオプションと現物株によっています。
(潜在株式の割合6.23%)

【リンク】

株式会社モブキャスト
http://mobcast.co.jp/

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間違いだらけのスタートアップ・ファイナンス − 本荘修二氏

今回はスタートアップの資金調達について考えてみたい。最近の傾向として、小額な資金のみで贅肉のないスリムな財布でスタートする「リーン・モデル」が主流となっている。とはいえ、事業を始めるには、いくばくかの資金がなければならないし、成長のためにも資金調達は不可欠だ。
ダイヤモンドONLINE「しっかりしろ起業家たちよ 日本の間違いだらけスタートアップ・ファイナンス」

【CFOならこう読む】

スタートアップ時点でのファイナンスの過ちは致命的になりかねないことを、本庄氏は次のように指摘しています。

「スタートアップ先進国の米国でも、間違ったスタートアップ・ファイナンスはある。しかし、日本のそれは特に問題だ。

「新規の投資家として増資を引き受けて欲しいとあるスタートアップ企業に言われたので、その企業の話を聞くと、シード段階で30~40%も他の投資家に株を持たれていた。そんな状況では、もはや資本政策の組みようがないから、我々にとっては増資を引き受けるかの検討にすらのぼらない」

 日本のスタートアップの資本政策の“マズさ”を指して複数のベンチャー・キャピタリストはため息をついている。実際に、日本のスタートアップが、初期段階での資本政策の過ちで、次の資金調達がおぼつかなくなったり、経営陣が会社のコントロールを失ったりする例が、あちこちで見られる。」(同上)

私も実際にこのような事例を多く見聞きしており、本庄氏の指摘は全くもって正しいと思います。

しかし、スタートアップ時点では資金に乏しく、ポンとまとまったカネを出してくれる投資家に頼りたくなる企業家の気持ちもわかります。

それではどうすれば良いでしょう。

企業家は、外部の投資家の言いなりになるのではなく主体的に資本政策にも取り組めば良いのです。

そのためには、IPOを一つの通過点とするような会社の長期的な事業計画と、それに基づく資金計画を立てる必要があります。

来年のこともわからないのに長期の事業計画なんか立てられるか、そんな声が聞こえてきそうです。しかしそんなことを言っている時点で企業家としての資質は疑わしい。

昨日のカンブリア宮殿は、Amazonのジェフ・ペゾスを取り上げていました。番組の中で、ペゾスの10年、20年先を見通す才能について語られていましたが、私はそれこそが優れた企業家に共通した資質であると思っています。

長期の事業計画が立てられないのなら、その時点でそんな事業は止めるべきです。

信念に基づく長期的な事業計画と資金計画を作り、それに基づき長期の資金調達計画を立てるのです。こういう作業を企業家自身の手で行えば、スタートアップ時に付け焼刃的なファイナンスを行う愚も回避できるはずです。

さらに言うなら、IPOも一つの通過点に過ぎないので、IPO時が株価の頂点といったような一般投資家を愚弄するIPOも避けられるはずです。

コンサルタントその他の専門家の力が必要な場面はありますが、企業家自身が自らの頭で考え、あくまで主体的に外部の専門家を”使う”姿勢が大切です。

ファイナンスなんてわからない、多くの企業家はそう思うかも知れませんが、自分が行う事業を一番よくわかっているのは企業家自身です。ファイナンスは事業の延長線上にあるのですから、わからないなどと言うことは決してありません。

本庄氏が「KA(こいつらアホか)と表現している企業家は、要するに考えることを放棄した怠慢な企業家のことなのです。

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なし

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世界と戦うー味の素

味の素が資本効率向上に向け、事業の再構築を急いでいる。5月に入り子会社のカルピス売却、2013年3月期の連結純利益予想を上回る500億円の自社株買いを相次いで決めた。意識するのが営業利益率、ROEで10%を超え、効率性に勝るネスレなど世界の競争相手。世界で戦うためにいま何がひつようか。伊藤雅俊社長に聞いた。
(日本経済新聞2012年5月22日15面)

【CFOならこう読む】

伊藤社長「世界的に強みのある調味料やアミノ酸を活用した先端バイオ分野に経営資源を集中し、成長を加速する狙いだ。欧米企業は事業の成長だけでなく、利益率や資本効率を意識して企業価値を高め、M&Aに備えている。世界で戦うには、これまでの日本企業の基準に満足せず、ある程度、欧米企業と同じ構造にしないといけない。自社株買いもキャッシュの水準や、成長投資との見合いを考えながら、今後も機動的に実施していく。」(前掲紙)

味の素は前期6.9%のROEを、2017年3月期に10%以上に引き上げる。

「ネスレの2011年12月期の株主還元額(配当と自社株買いの合計)は107億スイスフラン(約9000億円)と純利益(94億スイスフラン)を上回る。利益を増やすだけでなく、自己資本を圧縮することでROEを17%に高めている」
(日経ヴェリタス2012年5月20日2面)

サブプライム後、レバレッジは悪といった空気であったのが、少し変わってきたようです。ROEに焦点が当たってくると、CFOの仕事はいろいろと増えてきます。

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なし

【資本政策詳解】アイスタイル

アイスタイルの株式上場の概要は次の通りです。

アイスタイルは、1999年設立、化粧品口コミサイト運営事業を行っている企業です。
公募価格は840円、予想PER15.4倍という水準での株式公開となりました。

社長の吉松氏はアンダーセンコンサルティング出身(他に2名の取締役もアンダーセン出身)で、1999年(ネットバブルの直前)に当社を設立しています。

2011年12月31日現在、総資産23億円のうち12億円が現預金であり、資金調達を目的とした上場ではないものと思われます。

2008年に第三者割当増資が行われていますが、このときの発行価格1200円(株式分割考慮後)は、今回のIPOの公募価格840円を上回っています。

そもそもこの1200円という発行価格は、2008年6月期は、160,457千円の当期純損失を計上していたこと、1株当たり純資産は227.57円(株式分割考慮後)であったことを考えると、相当に強気のバリュエーションであったと言えます。

ちなみに2010年から2011年にかけて発行されたストックオプションの行使価格、及び株主間移動は400円(株式分割考慮後)
で行われています。

吉松社長の上場直前時点の持株比率は、32.3%でした。

従業員のインセンティブは主にストックオプションによっています(潜在株式の割合12.65%)。

大株主に、ヤフー、サーバーエージェント、DAC、ベネッセといったビジネスパートナーが名を連ねているのが特徴的です。

【リンク】

株式会社アイスタイル

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フェイスブック資本構成-IPO前

交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックが株式上場へ歩み始めた。大量の資金と人材の獲得を視野に、1日に申請書類を米証券取引委員会(SEC)に提出。
(日本経済新聞2012年2月3日7面)

【CFOならこう読む】

「上場後も経営陣が主導権を握れるよう、ザッカーバーグ氏らに通常の株式の10倍の議決権のある種類株を割り当てるなど対策を取っている」(前掲紙)

上場申請書類(Form S-1)からIPO前時点におけるフェイスブックの資本構成を抜粋します。

【クリックで拡大表示します】 「Facebook 上場申請書類(Form S1)」127ページより引用

フェイスブック創業者でCEOのマーク・ザッカーバーグの議決権比率は28.2%(株主間契約等でザッカーバーグが実質的に有する議決権比率は56.9%)、共同創業者の1人であるダスティン・モスコビッツは7.6%となっています。

表のClass B株式は一株につき10個の議決権を、Class A株式は一株につき1個の議決権を有することが注(2)に記載されています。

【リンク】

「Facebook 上場申請書類(Form S1)」

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【資本政策詳解】ダブル・スコープ

ネクソンの株式上場の概要は次の通りです。

ダブル・スコープは、2005年設立、リチウムイオン二次電池用セパレーターの製造・販売を行っている企業です。公募価格は2,500円、予想PER27.1倍という水準での株式公開となりました。

直前期末(2010年12月31日)現在、△1,740,593という大きなマイナスの利益剰余金があります。

【クリックすると拡大表示します】

アグレッシブに第三者割当増資による資金調達を行って来ています。

【クリックすると拡大表示します】

典型的なVC型のIPOで、上場直前時点で筆頭株主は崔社長ではあるものの、持株比率は18%しかありません。

従業員のインセンティブは主にストックオプションによっています(潜在株式の割合5.68%)。

ネクソンに続く韓国企業の日本での上場です。崔社長は日本で上場した理由を、次のように述べています。

「個人的な考えを言えば、『義理』だ。2005年に日本で会社を設立した当時、日本のベンチャーキャピタルが当社の技術力を信じて投資してくれた。米ナスダックや韓国コスダックからも提案を受けたが、日本の資金で育った会社なので、日本で上場することにした。日本経済が悪いと言われているが、東京市場は世界トップクラスのマーケットだ」
2011/12/16 18:40「ダブル・スコープ、崔元根社長『35%超の利益率維持する』」日本経済新聞

【リンク】

ダブル・スコープ株式会社

 

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【資本政策詳解】ネクソン

ネクソンの株式上場の概要は次の通りです。

 

ネクソンは、2002年設立、オンラインゲームの制作、開発、配信を行っている企業です。

公募価格は1,300円、予想PER17.9倍という水準での株式公開となりました。

ネクソンは、1994年に設立された旧ネクソン・コーポレーション(現エヌエックスシー・コ ーポレーション)からスタートしています。日本への進出は、2000年9月に旧ネクソン・コーポレーション(現エヌエックスシー・コーポレーション)がソリッ ドネットワークス株式会社(旧株式会社ネクソンジャパン)の発行済株式の50%を取得したことから始まっています。

2005年1月に旧ネクソン・コーポレーション(現エヌエックスシー・コーポレーション)とソリッドネットワーク ス株式会社(旧株式会社ネクソンジャパン)が資本提携を解消したことにより、当社がソリッドネッ トワークス株式会社(旧株式会社ネクソンジャパン)からオンラインゲーム事業を譲り受けし、日本 におけるオンラインゲーム事業を本格的にスタートしました。

旧ネクソン・コーポレーション(現エヌエックスシー・コーポレーション)は、2005年年10月11日に、オンライ ンゲーム事業を会社分割により韓国の新ネクソン・コーポレーション(現ネクソン・コリア・コーポレーショ ン)に移管するとともに、同年10月28日に、同社の全株式を当社に譲渡しました。以降、同社は当社の親会 社としてゲーム事業以外の投資事業を行い、オンラインゲーム事業については、当社が事業持株会社として、日 本国内のゲーム事業を行うとともに、海外の関係会社を管理しています。

【クリックすると拡大表示します】

従来、韓国事業会社が親会社であったのを、組織再編により、日本の会社(ネクソン)の子会社としてます。コーポレートインバージョンにより、日本に親会社を作った希有な例と言えます。

 

売上高のうち80%以上を海外売上高が占めています(韓国と中国合わせて60%超)。それだけに何故日本で上場するのだろうという疑問が浮びますが、この点崔社長は、次のように答えています。

「韓国はもちろんのことナスダックや香港も上場先として検討はしましたよ。ただ先進的なゲーム市場と世界トップレベルの国際的な資本市場という2つを兼ね備えているのは日本しかないという結論になりました」(日経ヴェリタス2011年12月18日20面)

予断ですが、売上の多くを海外で稼いでいるため、実効税率は27.1%と低い水準を維持しています。

2011年7月に現物出資による第三者割当増資が行われています。

抜け殻方式で作られた持株会社であるエヌエックスシー・コーポレーションが上場後も50%超の持分を維持する資本政策となっています。

従業員のインセンティブは主にストックオプションによっています(潜在株式の割合5.91%)。

海外のベンチャー企業が日本でこれだけの規模のIPOが出来るのですから、日本のベンチャー企業も負けずに頑張ってもらいたいものです。

【リンク】

株式会社ネクソン

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【資本政策詳解】リブセンス

リブセンスの株式上場の概要は次の通りです。

リブセンスは、2006年設立、成功報酬型求人情報サイト「ジョブセンス」などのインターネットを利用した各種情報メディアの運営を行っている企業です。創業者である村上太一氏は、早稲田大学1年生の時に実施された「ベンチャー起業家養成基礎講座」のビジネスプランコンテストにおいて、現在の当社主要メディア「ジョブセンス」の基本概念となるネットを活用した人材ビジネスを発表し、最優秀賞を獲得。

その後、大和総研でのインターン等を経て、上記の最優秀賞を獲得したビジネスプラン実現を目的として当社を設立しました。

公募価格は990円、予想PER11.3倍という水準での株式公開となりました。

【クリックすると拡大表示します】

設立から上場まで第三者割当増資が全く行われていません。資金を要するビジネスモデルではないのでしょう。

オーナー型のIPOで、上場後も村上社長の持分割合が単独で約2/3を占める株主構成となっています。

従業員のインセンティブはストックオプションによっています(潜在株式の割合2.43%)。

特筆すべきところがない資本政策ですが、オーナー経営者が売出しを行っている、社外監査役が株式を保有している、会社ウェブサイトに投資家用のページがない等会社の姿勢に多少甘さを感じます。

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【資本政策詳解】菊池製作所

菊池製作所の株式上場の概要は次の通りです。

菊池製作所は、1976年設立、精密板金技術、各種成形技術、アルミホットダイカスト技術、プレス技術、機械加工技術などを用いた試作品、金型ならびに量産品の製造を行っている企業です。

公募価格は1,100円、予想PER7.9倍という水準での株式公開となりました。

菊池製作所の顧客は、携帯電話・デジタルカメラ等の精密電子機器メーカー、事務機器メーカー及び自動車部品メーカーであり、取引先の新製品開発計画、モデルチェンジの周期、開発予算及び市場動向に影響を受けます。過去の業績を見ても、大きく売上高が変動している年が散見されます。

単体財務諸表上の売上高

2007年4月期 5,708百万円
2008年4月期 7,339百万円
2009年4月期 6,285百万円
2010年4月期 4,938百万円
2011年4月期 6038百万円

菊池製作所の主な資本政策は (表2)の通りです。

ここに記載した以外に、2009年7月以降、株主間の株式移動が10件程度行われていますが、移動価格は全て修正簿価純資産基づき算出された1,150円によっています。

典型的なオーナー型のIPOで、上場後も菊池家の持分割合が約2/3を占める株主構成となっています。

従業員のインセンティブは従業員持株会と現物株によっています。

(従業員持株会の上場直前時の持株比率6.14%)

【リンク】

株式会社菊池製作所

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【資本政策詳解】イーブックイニシアティブ

イーブックイニシアティブの株式上場の概要は次の通りです。

イーブックイニシアティブは、2000年設立、スマートフォンやタブレット端末、パソコン向けに漫画を中心とした電子書籍を販売している企業です。

創業者で取締役会長の鈴木雄介は株式会社小学館において、1998年に通信衛星を利用して電子書籍の配信を行うため「電子書籍コンソーシアム」を結成し、出版社、書店、キャリア、メーカーなどの業界から約150社の参画を得て実証実験を行いました。その後、2000年3月に実験が終了したことを機に、そこで培ったノウハウや人脈を活用し、2000年5月イーブックイニシアティブを設立しました。

公募価格は760円、予想PER7.1倍という水準での株式公開となりました。

2008年1月期まで赤字でしたが、2011年1月期の当期純利益は前期比5倍の9400万円を計上しています。

2007年1月期及び2008年1月期の決算はGC注記をつけており、いずれの会計期間においても減損損失を計上しています。
また上場直前期の2011年1月期の貸借対照表に繰延税金資産は計上されていませんが、5億円弱の繰越欠損金があり、来期の法人税等の納税はなさそうです。

イーブックイニシアティブの主な資本政策は (表2)の通りです。

2010年1月期現在1,118百万円の累損があり、これを一掃するため2011年1月に資本金及び資本準備金の取崩しを行っています。定時株主総会を待たずに、決算期末直前でこの処理を行っているところが特徴的です。

典型的なVC型のIPOで、目論見書提出日現在で鈴木会長と小出社長の持分割合が15%となっており、今後VC等のイグジットに伴い株主構成がどのように変わるか気になるところです。

従業員のインセンティブはストックオプションによっており、目論見書提出日現在で潜在株式の割合は15.6%と若干高めの水準になっています。また鈴木会長、小出社長の両名にもストックオプションが付与されています。

資本政策と直接関係ない話ですが、小出社長の経歴を見ると、会計士補として太田昭和監査法人でパートタイム勤務していたことが書かれています。

会計士協会のサイトで検索をかけてみましたがヒットしませんでした。登録を取り止めたということでしょうか?

【リンク】

株式会社イーブックイニシアティブジャパン

 

 

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