朝三暮四

鳩山由紀夫首相が22日午前の衆院予算委員会で、中身は同じなのに巧みに変化があったようにごまかすことを意味する故事成語「朝三暮四」を、命令がころころと変わることを表す「朝令暮改」と勘違いし、質問した自民党の茂木敏充幹事長代理から言葉の由来と正しい意味について「講義」を受ける一幕があった。
(
jiji.com 2010年1月22日)

【CFOならこう読む】

「朝三暮四は、宋の狙公が飼っていたサルに木の実を「朝三つ、暮れに四つ与える」と告げたところ、サルが不満を示し、狙公が「朝四つ、暮れ三つ」と言い換えるとサルが喜んで受け入れたという故事に由来する」(前掲紙)

この故事には、騙されるサルもアホだというようなニュアンスがこめられています。

ですが、現在価値で考えると、「朝三つ、暮れ四つ」と「朝四つ、暮れ三つ」では異なる、アホだと思ったサルが、実は正しい判断をしている、と私の師匠である井手正介先生が話しておられたのを思い出しました。

割引現在価値の計算の本質は、現在のキャッシュは、将来のキャッシュより価値が高いというところにあります。ですから、「朝三つ、暮れ四つ」より「朝四つ、暮れ三つ」の方が得だというサルの判断は正しいという訳です。

いずれにしても、茂木氏の昨日の質問、

「一次補正の凍結額の4分の1を10年度当初予算案で復活させている」

を朝三暮四で表現するのは、故事の使い方として間違っているように感じます。この場合、朝令暮改で正解でしょう。

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