PER70倍?

割高PERのカラクリ 赤字企業除けば日本株は割安

株価が予想1株利益の何倍かを示すPERは最も基本的な投資尺度の1つだ。東証1部のPERは13日時点で73.2倍。約10倍の米国と比べ、7倍も割高に見える。
(日経ヴェリタス2009年3月15日4面)

【CFOならこう読む】

私のブログでも毎日マーケットデータを掲載しています。PERについても実績ベース及び予想ベース両方(日経225PER)を掲載しています。読者の中にもお気づきの方が多くいらっしゃると思いますが、この予想PERが昨年暮れからはね上がっているのです。

13日の日経225予想PERは71.37倍でした。15倍~20倍程度が妥当とされるので、このPERは明らかに異常です。

高騰の理由は次の通りです。

「東証1部で70倍」という場合のPERは、時価総額合計を予想純利益の合計額で割って求めた数字だ。赤字は利益合計から差し引かれ、赤字が続出すると分母(利益)が小さくなる。赤字企業の時価総額は差し引かれないので、PERは上昇しやすくなる。
(前掲紙)

つまり株価は、赤字だからといってゼロになるわけではありません。株価は、長期的なキャッシュフローの流列によって決定するので、一時的な業績悪化があったとしても株価には大きな影響を与えない場合が多いのです。

例えばPERの水準が10倍であるA社とB社があって、昨年までA社のEPSが20円、株価が200円、B社のEPSが10円、株価が100円でした。このとき平均のPERは、

(200+100)÷(20+10)=10倍

となります。ところが来期B社の業績が一時的な要因で大きく悪化し、EPSが△10円になるという発表があったが、株価は100円のままであったとすると、平均のPERは、

(200+100)÷(20-10)=30倍

と跳ね上がります。今の日本の状況はまさにこのような状況なのです。

ヴェリタス編集部で赤字を除いた「黒字企業だけのPER」を算出したところ、直近で15倍程度にとどまることがわかった。
これをもって日本株は割安と結論づけるのはやや乱暴だが、1つの投資判断材料になるだろう。
(前掲紙)

赤字企業が多い状況下でPERで株価の割高割安の判断はできないということです。

【リンク】

なし