金融庁、「株券等の公開買付けに関するQ&A」の追加(案)の公表

KDDIによるケーブルテレビ最大手ジュピターテレコム(JCOM)への出資を巡り、TOB規制の課題が浮き彫りになった。KDDIは規制に引っかからないような枠組みで出資を計画。ところが金融庁にはこれが「脱法的行為」と映った。KDDIは結局、規制対象外まで出資比率を下げて19日に買い取ったが、規制を巡る解釈のズレが生じた。
(日本経済新聞2010年2月19日5面)

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「今回、浮き彫りになった論点の一つは、金融規制と民間の創意工夫とのバランスをどう取るかという点だ。企業や個人が法律を読み込んで問題がないと判断した取引が、行政のさじ加減でひっくり返されるのであれば、商取引そのものが萎縮しかねない」(前掲紙)

創意工夫といっても、上場会社の少数株主や一般投資家の利益を害するようなスキームはそもそも許されないと考えるべきです。そしてそのような行為が目の前で行なわれようとしているなら、金融庁がストップをかけるのは当然と僕は考えます。

ところで金融庁は15日に「株券等の公開買付けに関するQ&A」の追加(案)を公表しています。その中で次のように、資産管理会社の株式取得がTOB規制に抵触するとの解釈が示されています。

「問15 有価証券報告書提出会社の株券等の3分の1超を所有する資産管理会社の株式を取得することは、公開買付規制上、どのような問題がありますか(法第27条の2第1項関係)


当該資産管理会社の株式の取得は、形式的には当該有価証券報告書提出会社(以下この問において「対象者」といいます。)の「株券等の買付け等」に該当するものではありませんが、当該資産管理会社の状況(例えば、当該資産管理会社が対象者の株券等以外に保有する財産の価値、当該資産管理会社の会社としての実態の有無等)によっては、当該資産管理会社の株式の取得(結果的に当該資産管理会社を支配し得るようなものをいいます。以下この問において同じです。)が実質的には対象者の「株券等の買付け等」の一形態に過ぎないと認められる場合もあると考えられ、そのような場合に、対象者の既存株主等にその所有する株券等を売却する機会が与えられないとすれば、公開買付規制の趣旨に反するものと考えられます。したがって、そのような資産管理会社の株式の取得は、公開買付規制に抵触するものと考えられます。」

【リンク】

株券等の公開買付けに関するQ&A[PDF]