ニッポン放送株のインサイダー取引事件で村上代表に執行猶予判決

村上被告に猶予判決、一審の実刑破棄 インサイダー事件

ニッポン放送株のインサイダー取引事件で、証券取引法違反罪に問われた元村上ファンド代表、村上世彰被告(49)の控訴審判決公判が3日、東京高裁であった。門野博裁判長は懲役2年の実刑とした一審・東京地裁判決を破棄し、懲役2年、執行猶予3年の有罪とした。罰金300万円と追徴金11億4900万円は一審判決と同額とした。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1G0301V%2003022009&g=MH&d=20090203

【CFOならこう読む】

インサイダー取引の規制対象となる重要事実とは何かという点について、一審判決では、「実現可能性が全くない場合は除かれるが、可能性があれば足り、その高低は問題とならない」としました。この点1999年に最高裁が示した「実現を意図した決定があるかどうか」とは異なる判断が示されたことに批判が集まりました。

東京高裁は、一審判決を誤りであるとし、「ある程度の具体的な内容を持ち、実現を真摯に意図していると判断されるものでなければならず、それ相応の実現可能性が必要」と最高裁の判例の枠内で判断の尺度を示しました。

このほか一審、二審の判決を比較すると次のような相違があります(出所:前傾紙)。

20090204e69d91e4b88ae382a4e383b3e382b5e382a4e38380e383bce4ba8ce5afa9e588a4e6b1ba

私自身は、一審ではアクティビストとしての村上ファンドの役割を、「利益至上主義には慄然とする」とまで言って全否定していたのが、二審では「企業に改革を迫った村上ファンドの一方の側面をどう評価すべきかは成熟した議論がなされていない」と一定の理解を示した点に少しだけ安堵感を覚えました。

【リンク】

なし