【資本政策詳解】FPG

FPGの株式上場の概要は次の通りです。

FPGは、船舶・海上輸送用コンテナを対象とし、主に投資家が税の繰り延べ効果を享受できるオペレーティング・リース事業のアレンジメントを行っている企業グループです。

公募価格は3,300円、、予想PER8.0という水準での株式公開となりました。

FPGの主な資本政策は (表2)の通りです。

2009年9月の第三者割当増資は外部に対し行なわれたものですが、その発行価格600,000円は2009年9月末時点の1株当たり純資産価額555,000円にほぼ見合うものになっています。
DCF法を採用することにより、今回のIPO公募価格3,300,000円(分割前に調整)に近い価格で増資することも可能であったと思いますが、引受人の多くが税理士等SPC投資家か又はその紹介者であることから、関係強化のためにディスカウントした価格で増資を行なったのかも知れません。

上場後時点で谷村尚永社長単独で2/3の持分を確保する資本政策となっています。

従業員に対するインセンティブはストックオプションによっています。

FPGの直近の財務諸表をざっと見てみましたが、気になるところが一つあります。それは営業キャッシュフローの年度のブレが大きい点です(2008年9月期は△666百万円、2009年9月期は676百万円)。

その主な原因は商品出資金勘定という一般的ではない勘定科目の増減にあります(2008年9月期は△1,085百万円、2009年9月期は616百万円)。この商品出資金について会社は【事業等のリスク】として次のような開示を行なっており留意が必要です。

「当社は、当社子会社(SPC)に係る有価証券(匿名組合契約に基づく権利)について投資家にこれを譲渡することを前提に一時的に取得する場合があり、当該有価証券を貸借対照表の「流動資産の部」に通常の「出資金」とは区別して「商品出資金」として取得価額で計上しております。
従って、当社が当該商品出資金を保有している間に、リース物件の価値の下落、賃借人の信用の悪化、為替相場が円高になるなどの事由により当該商品出資金の価値が取得価額を下回った場合には、当社は当該商品出資金について評価損または譲渡損を計上することになり、当社の業績に影響を与える可能性があります。
また、当社が保有する商品出資金を譲渡する投資家を最終的に見つけることができなかった場合には、当社が当該商品出資金の譲渡に伴い受け取ることを見込んでいた業務受託手数料を受け取ることができず、また、かかる場合には、当該商品出資金に係る持分について、当社が投資家として、オペレーティング・リース事業に関与することになるため、リース物件の価額の下落等の事情が生じることにより、当該持分への出資金の全部または一部を回収できなくなる可能性があり、これらの場合、当社の業績に影響を与える可能性があります」

その他2010年8月10日にポスティングしたように、国際会計基準をつくる国際会計基準審議会(IASB)はオペレーティングリースについてもオンバランス化を要求する公開草案を公表しており、これがFPGの事業に今後どのような影響を与えるのかも不透明であると言えます。

【リンク】

「新株式発行並びに 株式売出届出目論見書 平成22年8月」株式会社FPE [PDF]