AIM第1号候補見えず

東京証券取引所は月内にも、プロの投資家しか売買できない新市場「TOKYO AIM」を開設する。上場の際に利益額などに数値基準を設けず、柔軟性を高めたのが特徴だ。
ただ証券会社には責任の重さから上場企業の誘致に尻込みする向きもあり、上場企業数は当面、低水準にとどまりそうだ。
「どのような規模や業種の企業が適しているか手探りの状態」(銀行系証券幹部)。
商機となるはずの新市場の開設にも、証券会社に高揚感はない。それどころか聞こえるのは戸惑いの声ばかり。

(日本経済新聞2009年4月7日7面)

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英ロンドン証券取引所の「AIM」をモデルに、通常は東証が担う上場審査や上場廃止の権限を「指定アドバイザー」と呼ぶ証券会社に委ね、多様な企業の発掘を目指した。
ただ、この試みが証券会社を「上場させた以上は永久に管理責任を問われる」(大手証券企画担当)と萎縮されているのが現状だ。大手証券は横並びでアドバイザー資格は申請するもようだが、実際の案件発掘は棚上げの状態。上場第1号の具体的な候補も見えてこない。

このような声を私もあちらこちらで聞きます。その声は「指定アドバイザー」はどこまで責任を持たなければいけないのか、という不安の声です。

「TOKYO AIM」の指定アドバイザーに大手証券会社が適しているとは思えません。「指定アドバイザー」には、会社のビジネス、法的リスク、会計、税務、財務といった多様な視点から会社を理解し、責任を持つという姿勢が要求されます。これは従来の証券会社の業務とは相当に異なります。むしろこれに特化できるような会社の方が「指定アドバイザー」としては相応しいのではないでしょうか。

運営会社の村木社長はアジア各国で営業活動を展開しているそうですが、まず第1にやるべきことは「指定アドバイザー」の権限と責任の明確にし、その上で既存の証券会社に限らず広く申請を受け付けることではないでしょうか?

私は、「貯蓄から投資へ」というかけ声のもと、今の未整備な日本の株式市場に一般投資家を無責任に呼び込むよりも、当面「TOKYO AIM」のようなプロ向け市場で将来性あるベンチャー企業にリスクマネーを提供する方が良いと思っているので、「TOKYO AIM」にはとても期待しているのですが・・・。

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