法人税率5%引き下げの財源案まとまる

政府税制調査会が2011年度税制改正大綱に盛り込む企業向け減税から増税を差し引くと企業にとっては6000億円の負担減になることが14日わかった。
上場株式などの配当や譲渡益にかかる税率(所得税と住民税の合計)を10%に軽減している「証券優遇税制」を2年間延長することも決まった。2011年末に廃止し20%に戻る予定だったが、2013年末まで延ばす。

(日本経済新聞2010年12月15日1面)

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「法人実効税率の5%下げは国・地方合わせて1兆5000億円規模の減税だが、このうち8000億円は企業の負担増で財源を確保する。差額の7000億円は法人実効税率下げによる企業の負担減分となる」(前掲紙)

日の税調会議資料から法人税に関する主要事項とりまとめ案を以下に抜粋します。

「1.法人税の基本税率を現行の30%から25.5%に引き下げる。
2.基本税率の引下げに伴い、次の措置を講ずる。
(1) 次の特別償却制度を廃止又は縮減する
・エネルギー需給構造改革推進投資促進税制(廃止)
・集積区域における集積産業用資産の特別償却制度(縮減)
・事業革新設備等の特別償却制度(廃止)
(2) 特別修繕準備金制度の対象範囲を見直す(縮減)
(3) 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例(控除限度額の割増)は延長しない
(4) 減価償却制度について、定率法の償却率を定額法の償却率の2.5倍から2.0倍に縮小する
(5) 貸倒引当金の適用法人を銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等に
限定する
(6) 欠損金の繰越控除制度について、中小法人等の場合を除き、控除限度額をその事業年度
の繰越控除前の所得金額の100分の80相当額に制限する。これに伴い、欠損金の繰越期間
を9年(現行7年)に延長する
(7) 一般の寄付金の損金算入限度額を現行の2分の1の水準に引き下げる
(8) 外国税額控除制度の適正化を行う」
「主要事項とりまとめ案(国税) 法人課税など」

繰越欠損金の控除制限については当初所得金額の半分に制限するとされていたわけですが、すったもんだの末80%になりました。ようするに所得の20%分については税金を払わなければならないということです。ただし資本金1億円以下の企業については、従来通り100%控除できます。

繰越期間の7年から9年への延長については、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金について適用されます(今年期限をむかえる欠損金の期限が2年延長されるわけではありません)

【リンク】

「主要事項とりまとめ案(国税) 法人課税など」 [PDF]