ライブドア虚偽記載による損害賠償問題−地裁判決

ライブドアに95億円賠償命令 虚偽記載で株下落、東京地裁判決

ライブドアによる有価証券報告書の虚偽記載発覚で同株価が下落し損害を受けたとして、日本生命保険と信託銀行5行がライブドアホールディングス(旧ライブドア)に計108億円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(阿部潤裁判長)は13日、ライブドアHDに95億4400万円の支払いを命じた。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1C13008%2013062008&g=MH&d=20080613

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金商法21条の2第2項は損害の額を次のように計算すると定めています。すなわち、有価証券報告書等の虚偽記載等の事実が公表されたときは、その公表日前1年以内に当該有価証券を取得し、その公表日において引き続きその有価証券を所有する者は、その公表日前1ヶ月間のその有価証券の市場価額(市場価額がないときは、処分推定価額)の平均額から公表日後1ヶ月間のその有価証券の市場価額の平均額を控除した額を、虚偽記載等により生じた損害額とすることができる、としています。

今回の地裁判決の損害額の推定方法はこの規定にしたがって算定されたものです。本件では、公表日がいつであるのかが問題になりましたが、「検察官が広く報道機関に事実を伝達することは『公表』にあたる」として、東京地検特捜部の強制捜査の2日後の2006年1月18日、ライブドアの虚偽記載容疑が一斉に報じられたため、検察官が同日に報道機関に事実を伝達したと推認できるとしたものです。

なお、本件では株価下落には虚偽記載以外の要因もあったとして、公表前後1ヶ月間の株価の差額から3割を減額して損害額を算定していますが、この3割の根拠は現時点で不明です。詳細がわかり次第ここで再度取りたいと思っています。

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