株主優待制度と現物配当規制の関係

無配でも実施、投資家反発 違法配当の恐れも

株主優待制度が曲がり角に差しかかっている。導入企業は1千社を超え株主づくりの手法として定着した一方、目的と内容に厳しい視線が向けられ始めた。業績悪化の中で優待を続ける企業に株主が「ノー」を突き付ける。費用をかけた優待で、どのような成果があげられているのか企業の検証も十分とはいえない。
(中略)
優待にかかる費用は販管費、そのうち交際費の枠から支出されることが多い。優待金額が膨らめば費用が増え、営業利益を圧迫する。理屈上では利益配分面から見て優待は逆効果になる。

(日本経済新聞 2008年4月8日 16面)

【CFOならこう読む】

株主優待制度は、現物配当の規制や財源規制に服する配当として扱われるべきところ、これを潜脱するものとして許されないのではないかが問題となります。この点、新会社法実務相談(西村ときわ法律事務所編 商事法務)は次のように説明しています。

「現行の一般的な株主優待制度は、現物配当制度とは別個のものとして認められるという理解が有力であり、また株主優待制度は、多くの場合、個人株主作りや自社商品・サービス等の宣伝を目的として小額のものを分配するに過ぎず、株主に対する配当の性格は認められないのではないかと思われます。もっともかかる合理的な目的に相当な範囲を超えて、株主優待制度の下に多額の会社財産を払い戻す行為は実質的な現物配当として、会社法453条以下の配当規制に服することなくこれを行うことは許されないものと思われます。」

上記記事に掲載されている、無配でも株主優待が手厚い企業について配当可能利益を調べたところ次の通りでした。

いずれの会社も配当財源がない中で手厚い株主優待を行っており、これが違法配当とみなされる可能性は少なからずあるように思います。

【リンク】

グッドウィル 財務諸表
http://www.goodwill.com/gwg/pdf/y1906.pdf