持分法適用会社の留保利益についての税効果ー米国基準とIFRSの差異

大手企業でいち早くIFRSへの移行を決めた住友商事。6月ごろに提出される2011年3月期の有価証券報告書からIFRSベースの開示が始まる。業績や株価にどのような影響があるのか、具体的に検討してみる。
(日経ヴェリタス2011年4月4日13面)

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住友商事は米国会計基準適用会社なので、記事はUS-GAAPからIFRSへの変更の影響についてとりあげています。

「IFRSでは繰延税金負債の取り崩しも起こりそう。繰延税金負債は将来の税金支払いに備え計上しておく。いわば税の引当金のような項目。取り崩すことによって、引当金を戻し入れたのと同じ効果が発生し、純利益を押し上げる。
取り崩す可能性が高いのは持分法投資会社からの収益に対する課税に伴う繰延税金負債。投資企業をいずれ売却するという前提で株式を保有していると、売却時に発生が見込まれる課税に対して、繰延税金負債をあらかじめ積んでいる例が多い」(前掲紙)

米国会計基準では、実質的に永続するジョイントベンチャーを除く持分法適用会社の未分配利益に対しては、それらが、国内・海外にあるかどうかを問わず、繰延税金負債を計上しなければなならない(Topic740-30-25-5(b))(東洋経済 アメリカの会計原則2011年版 あらた監査法人 335頁)。

ただし日本基準では、投資の売却を自ら決めることができることを前提として予測可能な将来の期間に売却する意思がない場合には、持分法適用会社の留保利益について税効果を認識しない(持分法会計に関する実務指針27項)とされており、この点でIFRSとの間で重要な差異はないものと思われます。

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