スズキVWと提携解消へ

スズキは12日、独フォルクスワーゲン(VW)に対し資本業務提携の解消を申し入れたと発表した。2008年に提携関係を解消した米ゼネラル・モーターズ(GM)に代わる後ろ盾を望んだが、小型車や新興市場での短期的な成果を望むVWと思惑が一致しなかった。VWがスズキを連結対象としたことで、スズキは「自主独立」路線が損なわれるとの危機感を強めた。大型提携が2年足らずで見直しを迫られる異例の事態となった。
(日本経済新聞2011年9月13日3面)

【CFOならこう読む】

「両社は2009年12月に包括提携関係を結び、VWはスズキに19.9%、スズキはVWに1.5%を相互出資している。スズキはVWが保有する自社株の買い取りを提案するとともに、個別の協議案件を全て白紙にすることを求める。
提携解消申し入れの最大のきっかけは、VWが今年3月に出した年次報告書でスズキを連結対象とし、事実上の傘下企業と位置づけたことだ。鈴木会長は「全然、話が違う。自主独立は私の一貫した経営哲学だ」と説明した。2009年12月の提携会見の席上で、鈴木会長は「イコールパートナーとしてやっていく」と強調。「20%だと連結対象になるので、19.9%だ」としていた」(前掲紙)

日本企業はスズキに限らず提携関係を結ぶ際に、資本を10%~20%受け入れることがあります(これを資本提携と称します)。しかし私は以前から資本提携の意味がわからない、ということを指摘しています。日本企業はどうやらこれを兄弟の証、ヤクザの盃のように、提携の象徴と捉えている節が見受けられますが、資本を入れる側から見ればこれはあくまで投資です。投資ですから資本コストを上回るリターンを要求します。その関係はそもそも「イコールパートナー」ではあり得ないのです。

兄弟の契りとして、資本を受け入れるのは極めて危険です。特に外資との関係では慎重であるべきです。こちらは五分の兄弟だと思っているのに、向こうは親子だと思っている、ということがあり得るからです。

スズキは盃を返そうとしているわけですが、ヤクザ映画ではその後血の雨が降ると相場が決まっています。

スズキにも敵対的TOBという血の雨が降るかも知れません。
ちなみにスズキはライツプランを導入していません。

【リンク】

2011年9月12日「フォルクスワーゲンAGとの提携関係に関するお知らせ」スズキ株式会社