オリンパス、前社長「不明朗買収、調査で解職」

15日付の英紙フィナンシャル・タイムズは、14日付でオリンパスの社長を解職された英国人のマイケル・ウッドフォード氏が、解職の原因は今年4月の社長就任以前に同社が行った買収事案に不適切な行為がなかったかを調査したためだと語ったと報じた。
(毎日新聞2011年10月17日東京朝刊)

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これが事実なら大事です。これからの日本において、日本国内にヒト、モノ、カネを誘致して行くことが重要であり、中でも優れた経営者の重要性、緊急性は高いのに、こういうことがあると誰も来てくれなくなります。スティール・プルドック以降、海外からカネが入って来なくなったのと同じことがヒトの分野でも起きるように思います。

フィナンシャルタイムズのインタビューに応えてマイケル・ウッドフォード社長は次のように述べています
(翻訳:吉永)。

「英国医療機器会社であるジャイラスの2008年の買収に関し$1brn以上の不正支出の可能性について調査を開始したところ、取締役会で突然解任された。

特に問題視したのは、買収価格$2.2brnの1/3に当たる$687mがケイマンに本店登記があるAXAMというフィナンシャルアドバイザーに支払われたが、それがどこの誰かは明らかにされることはなく、AXAM自体はディールクロージング後3ヶ月で登記を抹消している点。

その当時監査人であったKPMGも、この買収に関し十分な会計記録が残されていないことを問題視していた(オリンバスの監査人は2009年にあずさから新日本に変更になっています)。」

マイケル・ウッドフォード氏は、取締役会で意見を述べる機会を与えられないまま、取締役会終了後すぐに空港行きのバスに乗れ、と言われたそうです。

オリンバスの菊川社長は、14日の記者会見で、

「独断専横の経営判断をするため、組織内は混乱し、社員の信頼がなくなった」
「企業風土や日本の文化を経営に生かすことを理解できなかった」

と説明したそうですが、わずか半年での解任の理由としては???と感じていたので、フィナンシャルタイムズの記事を読んで何だかとても納得してしまいました。

オリンパスには、ジャイラス案件に関する支出についての再調査と調査結果の開示を望みます。

【リンク】

2007年11月19日「英国Gyrus Group PLC社の買収手続き開始の合意について」オリンパス株式会社 [PDF]

2009年5月25日「会計監査人異動に関するお知らせ」オリンパス株式 会社 [PDF]

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