無印良品、独自性高めROE15%へ

「MUJI」のロンドン進出から20年。「無印良品」の良品計画が、海外展開のテコ入れに乗り出した。海外生産した商品をそのまま海外店舗に投入したり、現地のニーズにあわせて機動的に大量出店できるようにしたりするなど、「外ー外」で効率よく利益を稼ぐ仕組みを整える。現在は連結利益に占める海外事業の割合は13%だが、これを2014年2月期に20%に引き上げる計画だ。金井政明社長は「これからはグローバル企業になる。日本を優先したモノづくりの発想を切り替えろ」と号令をかける。
(日経ヴェリタス2011年11月7日16面)

【CFOならこう読む】

−国内企業の海外展開では「ユニクロ」と比較される。
金井社長「ユニクロは素晴らしいが、無印良品は思想や概念を商品にしている業態で、根本的な考え方が違う。他社とシェアを争う戦い方ではなく、ライバルのいない存在になるように独自性を高めていく。

(中略)

ただ売上高を追うのではなく、消費者の共感を集めることでどのくらい経営効率の良い会社にできるかを考えている。自己資本利益率(ROE)をグローバル企業の標準である15%に高め、高収益企業を目指す。商品や店作り、消費者とのコミュニケーション、人材育成を通じて独自性を築くことが条件になる」
(前掲紙)

自己資本利益率は、

当期純利益/自己資本=当期純利益/売上高×売上高/総資産×総資産/自己資本

すなわち、

売上高当期純利益率×総資産回転率×レバレッジ比率

に分解できます。

売上高を追う経営というのは、一般的には、販売単価を下げ、売上高を追うので、

売上高当期純利益率↓ 総資産回転率↑

となるのに対し、

消費者の共感を集めることで経営効率を上げる経営とは、

売上高当期純利益↑ 総資産回転率↓

というベクトルの経営です。

これがうまくいくかどうかは、付加価値をどれだけ追求できるかにかかっています。ただし現状10%程度のROEを15%にまで引き上げるには、バリューチェーンの見直しや不良在庫の削減による総資産回転率の引き上げにも取り組む必要があると思います。

この点、「生産や物流をどう結びつけるかというロジックの部分に磨きをかけることも大事だが、競合との違いが出しにくい領域だ」(前掲紙)という金井社長の言葉には、若干甘さを感じます。

【リンク】

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