日本電産、イタリアの産業用モーター会社買収資金をユーロ建て調達

日本電産は5日、イタリアの産業用モーター大手、アンサルド・システム・インダストリー(ミラノ市)の買収資金の一部を、政府の創設した「円高対応緊急ファシリティ」を活用してユーロ建てで調達したと発表した。
(日本経済新聞2012年7月6日17面)

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ユーロ資金調達案件としては第1号ということです。

「今回の資金調達で「長期資金を低利で調達でき、買収コストを抑えられる」(日電産)。同社の有利子負債は増加傾向にあるが、2012年3月期末の負債資本倍率は0.5倍にとどまる。」
(前掲紙)

今回、日本電産が活用する「円高対応緊急ファシリティ」とは次のようなものです。ドル資金とありますが、ユーロ資金も個別に対応するということです。

【目的】
・急激な円高の進行に対応し、民間円資金の外貨への転換(いわゆる円投)の促進による、為替相場の安定化
・長期的な国富の増大

【基本枠組】
・外為特会のドル資金を、国際協力銀行を経由して活用
・公的部門によるリスクマネーの供給や政策融資により、①日本企業による海外企業の買収や、②資源・エネルギーの確保などを促進し、これを民間部門の円投の呼び水とする

【金額・金利】
・政策融資の財源として、外為特会から国際協力銀行に対し、最大1,000億ドルを、6か月LIBOR金利で融通
・国際協力銀行から合計1,500億円規模を出資

【期間】
・1年間の時限措置

【具体的方策】
(1)M&Aの促進
①邦銀へのクレジット・ライン供与
②産業革新機構との連携
(2)資源・エネルギーの確保・開発の促進
(3)中小企業の輸出等の支援
平成23年8月24日「円高対応緊急パッケージについて」財務省

【リンク】

平成23年8月24日「円高対応緊急パッケージについて」財務省

2011年9月22日「円高対応緊急ファシリティの実施要領について」株式会社日本政策金融公庫 国際協力銀行