米国、割引率変更で年金債務圧縮可能に

7月6日夕。全米の年金関係者の視線がホワイトハウスに集中した。年金債務の計算方法を変更し企業負担を軽くする内容の法案にオバマ大統領が署名したときのことだ。
(日本経済新聞2012年10月12日6面)

【CFOならこう読む】

「新法で米企業は将来の給付に必要な金額を現在価値に換算する際、想定金利を「過去2年の平均」から「過去25年の長期平均」に変更できる。金利水準が高かった1990年代も反映した運用収益を見込めるため、現時点で積み立てる金額を低くできるのがミソだ」(前掲紙)

法案は、 the Moving Ahead for Progress in the 21st Century Act(MAP21)の interest-rate stabilization provision。これにより、従来4%程度の割引率が6%まで上昇し、企業は年金債務を大幅に圧縮し、毎期の費用負担を減らすことができると言われています。
http://www.nli-research.co.jp/report/focus/2012/focus120820.pdf

日本の会計基準は、

「退職給付債務の計算における割引率は、安全性の高い債券の利回りを基礎として決 定する」
(「企業会計基準第 26 号 退職給付に関する会計基準」20項)

さらに、

「割引率の基礎とする安全性の高い債券の利回りとは、期末における国債、政府機関債及び 優良社債の利回りをいう。」
(「企業会計基準第 26 号 退職給付に関する会計基準」注6)

としており、退職給付債務を計算する債の利回りを平均金利により計算する方法は採用されていませんが、今般の米国の制度変更の影響が日本にも及ぶのか否か注目されます。

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