自公民、所得・相続増税で合意

自民、公明、民主3党の税制責任者は22日、2013年度税制改正をめぐって国会内で協議し、 富裕層を対象にした所得税と相続税の増税案について合意した。最高税率の引き上げなどが柱。
(日本経済新聞2013年1月23日1ページ)

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「所得税は最高税率を現行の40%から45%に引き上げ、対象を課税所得4000万円超の部分とする。相続税は課税対象となる相続財産のうち6億円を超える部分に新たに55%の最高税率を設定。相続財産2億円超から3億円までの部分の税率も40%から45%似上げる。」(前掲紙)

米国オバマ大統領も21日の2期目の就任演説で、「一握りの人々だけが豊かさを享受する状況で我が国の成功はあり得ない」と訴え、格差是正へ富裕層増税などを推し進める決意を改めて表明した。

格差是正は理念としては正しいとしても、増税に見合う恩恵を国家から受けていないと考える富裕層は、やがてその国から出ていってしまうというのも事実でしょう。例えば、フランスでは富裕層増税に反対し国籍返上を表明した著名俳優ドパルデューさんがロシア国籍取得を認められたとのニュースがセンセーショナルに報道されています。

ユニクロの柳井さんが、著書「現実を視よ」の中で次のように述べています。

「富裕層への課税にしても、平均的な働き方をしていたら、人並みの収入しか手にすることはできない。人が寝ているときにも働いて、過酷な競争に勝ち抜いたからこそ、多くの富裕層は多額の報酬を得ることができている。
そうしたプロセスをまったく無視し、あそこにお金があるからこちらにもってきて、不足分を穴埋めしよう、足りない人にわけて
凸凹を均そうという発想は、稼ぐ力のある企業や個人を日本から追い出してしまう。この国にいちばん必要な競争力の源泉が、いたずらに失われてしまいかねない。」

これが富裕層の人に共通の認識であるなら、国家としてはまるで「「儲けることが悪である」かのように」(前掲書)、富裕層増税という形で稼ぎを巻き上げる方法ではない別の形で格差是正を達成する道を模索するべきであると、私は思います。

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