2009年度与党税制改正大綱最終案

少額の株式投資、総額500万円まで非課税 税制大綱最終案

2009年度与党税制改正大綱の最終案が11日、判明した。年間100万円を上限に最長5年間、総額で500万円までの株式投資について配当と譲渡益を非課税にする制度を12年から導入する。中小企業の法人税の軽減税率は現行の22%を09年度から2年間18%に引き下げる。社会保障費の財源として焦点になっているたばこ税増税については与党は同日、見送りの方針を固めた。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=NT000Y583%2011122008&g=MH&d=20081211

【CFOならこう読む】

最終案要旨のうち、重要なところを列挙すると次の通りです。

【中小企業】
・法人税の軽減税率を2009年度から2年間、現行の22%から18%へ引き下げる。
・2009年2月1日以後終了する各事業年度で生じた欠損金について繰戻し還付制度を適用
・エネルギー需給構造改革推進設備などの即時償却制度と資源生産性向上促進税制を創設
・海外子会社から受け取る配当を益金不算入とする制度を導入
【金融証券】
・上場株式の譲渡益と配当の課税軽減措置を2011年まで継続。小額投資の非課税措置を創設
・企業型確定拠出年金に導入されるマッチング拠出の掛け金の全額を所得控除の対象に
・確定拠出年金の拠出限度額を引き上げ
(日本経済新聞2008年12月11日夕刊2面)

繰戻し還付制度を今期から適用できるのは大きいと思います。

欠損金の繰戻し還付制度とは、欠損金の生じた年度において青色確定申告を行い、かつ過去の関係年度において青色確定申告をしていたことを条件として、欠損金を当該事業年度の開始の日前一年以内に開始した事業年度に繰り戻し、これらの事業年度の税額を計算しなおして、その差額の還付を求めることを認める制度です。

制度としてはあるのですが、現在は、租税特別措置法により不適用となっています。

新規投資を検討している会社にとっては、意思決定を後押しする効果がありそうです。投資時のロスをその前年の利益と相殺することができるからです。まあ、できれば3年程度の繰戻し還付を認めてもらいたいところではありますが…。

小額投資優遇税制の創設は個人の金融資産を貯蓄から株式市場に振り向ける狙い。

「年間の新規投資で100万円を上限に、一人あたり一つの非課税口座を持てるようにする。20歳以上が対象で、同口座から投資した上場株式などの配当や譲渡益が非課税になる。非課税期間は10年間。年間一人一口座を5年間にわたって開設できるようにする。毎年の新規投資額合計ベースで最大で500万円が非課税対象になる。」

小額投資という表現、年間100万円合計500万円という非課税枠は、金持ち優遇批判をかわすためのものでしょうが、この程度の非課税枠では大きな効果は期待できないと私は思います。

 

【リンク】

なし