BNPパリバに過怠金10億円超

パリバ不正利益没収へ アーバンコーポ問題で日証協 過怠金10億円超も

日本証券業協会は2日、BNPパリバ証券に対して経営破綻したアーバンコーポレイションとの不適正な取引で得た利益を没収する過怠金処分を科す方向で検討に入った。資本市場や証券業界の信頼を損なう行為の責任は重大だと判断しているため、過怠金の規模は10億円を超え、過去最大となる公算が大きい。
(日本経済新聞2008年2月3日1面)

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本件については、昨年9月12日、本年1月8日及び1月9日に取り上げています。
以下事件の概要を再掲します。

「7月11日 2010年満期 総額300億円のCBをバリバ向けに発行転換価格 344円(開示日6月26日の終値)資金使途 財務基盤の安定性確保に向けた短期借入金を始めとする債務の返済に使用する予定破綻まで存在が隠されていたスワップ契約の概要
7 月11日 BNP パリバに300 億円を支払う
パリバは手元にあるCBを株式に転換したうえで、市場の売買高の12~18%に相当する株数を市場で売却。
”売却した株数×その日の市場の売買高加重平均株価の90%”に相当する金額を日々アーバンコーポレイションに支払う。
出来高加重平均株価の算定の基礎となる株価に一定の下限を設定」

「実際の調達額は91億円。この契約(スワップ契約)はアーバンコーポが破綻するまで開示されず、300億円の資金を調達できたとみていた一般投資家を含む幅広い市場参加者を欺く行為として批判された。」
(日本経済新聞2009年1月8日4面)

CBとスワップ契約を一体のものとしてみると、MSCBとほぼ同じものになるにも関わらず、この片側のみしか開示しなかったことが東証の適時開示規則に違反している点が特に問題となりました。

金融庁はBNPパリバに対し業務改善命令を発動したものの、課徴金は科していません。
これに対し、日本証券業協会は

「証券業界全体の評価に関る話。きちっと対応したい」(増井喜一郎副会長)

として、厳格な処分を行う方針を明確にしました。

金融庁ではなく、民間の自主規制団体である日本証券業協会が規制機能を発揮するのは望ましい方向であると思います。

「本件CB スワップ組合せ取引により、アーバン社が調達した金額は91 億2559 万8771 円、BNPP グループの収益は11 億7976 万9077 円でした。」
(”BNP パリバ証券会社東京支店 外部検討委員会の調査結果の公表について”より)

過怠金はこの金額を基に決定されるとのことですが、不正利益を没収するだけでは規制としては緩く、罰金も徴収できるよう更なる規制強化が必要であると私は思います。

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