役員報酬開示の副作用

資生堂の前田新造社長は15日、日本経済新聞記者に会い、株主総会前に役員報酬を個別開示したことについて「役員報酬に関する当社の考え方を株主に理解してもらい、意見があれば議論してほしいと考えた」と述べた。同社は前田社長を含む3役員の報酬を総会前に開示している。
(日本経済新聞2010年6月16日11面)

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本件については、6月5日のエントリー「有価証券報告書、総会前開示10社」で取り上げました。

-報酬が1億円以上の役員に個別開示を求める規制をどう考えるか
1億円以上という枠は疑問だ。何を基準に1億円以上なのか。思想もよくわからない。当社は経営全体に責任を負う代表取締役は金額の多寡にかかわらず、個別開示すべきだと考えた。したがって6600万円だった岩田喜美枝副社長についても任意で開示した

-外国人のフィッシャー専務の報酬は1億4千万円と、前田社長の1億2千万円を上回った
グローバル企業の争奪戦になる。欧米の優秀な経営者を招くには欧米流の報酬が必要だ。ただ、長期的には日本人と外国人の役員報酬について擦り合わせが必要になるかもしれない」(前傾紙)

思想は、高すぎる報酬はヨロシクナイ、開示させれば1億円以上の報酬の支払はそうそうしなくなる、ということでしょう。

しかし、希少な資源である経営者の報酬はグローバルな市場で決定されるもので、いくら日本の政治家が高過ぎる報酬が望ましくないと思っても、そんなこととは無関係に報酬の水準は市場で決まるのです。

しかし個別開示のおかげで日本人と外国人の報酬の格差が明らかになり、逆に役員報酬の底上げにつながるのではないか、そんなことを前田社長のインタビューを読んで思いました。

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